肥料を知る!(基礎)~その他の肥料~
こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。今日も農業初心者、家庭菜園者向けに「肥料」についてのお話をしたいと思います。家庭菜園も少し知識をつければより楽しくなると思うので学んでいっていただければ、、、と思います。
今までに、「肥料を知る」で窒素(N)のお話やリン酸(P)・カリ(K)のお話をしてきましたが、今回はそれ以外の肥料についてお話したいと思います。
ちなみに私は肥料などのお話をする際には必ず化学式を記載するようにしています。これはできるだけ科学的・論理的にしてより理解を深めてもらおうと思っているからです。
植物の体を食精している成分を理解し、肥料として吸収するものの成分を化学式で理解することが大事だと思うからです。
植物が生育するために必ず必要な養分を必須元素といいます。全部で17種類が知られています。ちなみに哺乳類の場合は 27種類です。
植物が生育するために必要な17種類の必須元素のうち、炭素(C)、酸素(O)、水素(H)は空気や水から吸収できますが、残りの14種類は根から吸収する必要があります。
17種類の必須元素を見ていくと、まず、今までに説明した窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)の3要素があります。ついで必要量が多いものとしてはカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、硫黄(S)があります。
〇土壌のpH調整にも使うカルシウム(Ca)
カルシウムは農業業界では石灰とも呼ばれます。学校で運動場に白線を引く際に使うものと同質のものです。カルシウムは細胞壁を構成する細胞同士を漆喰のようにして強固にしたり、根の先端の細胞組織を正常に生育するために不可欠な養分です。
このためカルシウムが欠乏すると葉物野菜の葉の先端が枯死したり、トマトの果実の先端が腐ったりします(尻ぐされ)。
カルシウムは土のpH調整を目的として利用されます。酸性に傾いた土壌にカルシウムを撒くと土は中和されます。その際、かなりの量のカルシウムを撒くので、不足することはほとんどありません。しかし根が弱ったり土が乾燥したりすると欠乏症を起こす恐れがあります。
〇光合成に必要なマグネシウム(Mg)
マグネシウムはその酸化物の味が苦いことから、農業業界では “苦土(くど)“と呼ばれます。
マグネシウムは葉緑素(クロロフィル)の構成成分で欠乏すると葉緑素が不足し光合成ができなくなります。
酵素の活性化やリン酸の体内移動にも関わっています。根からのリン酸の吸収も助けるので、土の中に溜まったリン酸の利用に有効です。
通常は土の中に十分な量がありますが、土が酸性の場合や鶏糞など家畜由来肥料の過剰な投入で、カリが多くなるとマグネシウムが吸収できなくなり欠乏症が発生することがあります(肥料成分の拮抗作用)。
マグネシウムとカルシウムが一緒になった肥料“苦土石灰”などは使いやすいです。
〇硫黄(S)と微量要素について
硫黄は窒素と同じくタンパク質の成分なので植物の生育にとっては非常に重要です。しかし日本は火山の多い土地ですので、土に硫黄が多く含まれており、特別に肥料として与える必要はほとんどありません。
このほか ごくわずかに必要な微量要素が 8種類あります。しかしこれらは、通常、土や堆肥に含まれており肥料で施す必要はありません。
ただし念のため年に一度は土壌分析をして微量要素に限らず、あらゆる要素が過不足がないか確認することをお勧めします。
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