栽培の基本 (農業)
こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。今日は栽培の基本についてのお話をいたします。野菜の生育を左右する要因としてまず目を向ける必要があるのが「光」・「温度」・「水」・「肥料分」です。いずれも 野菜の生育にとって重要なもので露地栽培においてはコントロールが難しいものです。
まず光の量が足りないと十分な光合成ができずに株が弱々しくなったり、生育が遅れたりします。植物は光合成により「糖」を作り出すことで生長しています。光合成を促進するエネルギーが「光」ですので光は野菜の栽培ではとても重要です。光の過剰による障害はあまり考えられませんが、強い光が当たることで水分が不足して日焼けが起こることがあります。
温度はその野菜の生育適温との兼ね合いが重要です。トマトの生育適温は20~30℃といわれています。一般に、温度が高く光も十分なら生育が早まりますが、生育適温よりも高ければ生育が滞ります。さらに高温になれば細胞が壊れて生理機能を維持できなくなります。生育適温よりも低い場合も生育が滞り最悪の場合は枯死します。また日中温度と夜間温度の管理も必要です。夜間は光合成はしませんが呼吸だけはしています。夜間温度が高くなれば呼吸による「糖」の消費だけが大きくなりより良い生育にはなりません。
水は少し足りないくらいなら果実の糖度が増し味も濃くなります。しかし水不足の度合いが高まれば栄養素を吸収しにくくなり、尻ぐされ等の生理障害が発生します。さらに不足すれば餓死します。植物は水に溶けたモノしか根から吸収できないし、植物体内でも水にのって植物体内のスミからスミまで送られるからです。水の過剰で起きるのは土中の酸素不足による根腐れです。乾燥状態から急激に水が増えれば 裂果、裂根などがおきます。
肥料の過剰で問題になるのは主に窒素です。害虫が好む野菜になるだけでなく細胞が脆くなって菌に侵されやすくなります。逆に肥料不足の場合は 生育が滞るほか不足した要素によっては 要素欠乏症が発生します。
●栽培履歴を振り返る
野菜の現在の姿は過去の反映でもあります。例えば、トマトの場合、第一花房の花芽ができるのは本葉が2~3枚の頃、まだ育苗中のことです。この時期の温度や施肥の管理が後々の開花・結実を左右する要因になります。
現在の不調は過去に原因がある可能性があるからです。茎を見て節間の長さがほぼ同じか、極端に節間が短いとか、茎が細い部分があれば、その時期に何らかの障害があったはずです。茎の太さを株元から生長点まで眺めていくと茎の太さに太い箇所、細い箇所などがあります。その時期、その時期の管理の状況の歴史が茎を見るとわかります。間引きや定植の時期は適切だったか、初期生育は順調だったか、ここまでの生育の過程で天候不順にあったことはなかったか、肥料切れではなかったか、など振り返ってみましょう。
不調の原因と思われるものが、今も存在しているのであれば改善し、今シーズンで取り返せないような失敗ならば十分に検証して次の栽培に活かしましょう。
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