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元フリーランス、「女性のことはわからないから」と言った社長と、働くことに決めました

採用系のインタビューをしていると「あの時、あの人が、あの言葉をくれたから入社を決めました」という話を聞くシーンにそう少なくない確率で出会うことがある。

でも、ぶっちゃけ私には縁のない話だと思っていた。

何しろしがないバックオフィス事務。転職活動をしていても、相手からさほど熱意を感じないことのほうが多い。

「まぁ正直なところ誰でもいいんだけどね、普通に仕事をこなしてくれたらそれでいいんだけど」面接官の表情にそう書いてあるんだもん。態度に出てますよ、言葉遣いに透けてますよ。

でも、人生5回目の転職で、ついに「その時」が訪れたのだ。多分本人はそんなつもりはないだろうけれど。

「女性のことは、僕らにはわからないから」
大体こんなニュアンスだった。

私は次の転職先で、バックオフィスの経理や事務全般を担う平社員第一号になる。これから就業規則を作らなきゃね、というレベルの超初期フェーズ。スタートアップにありがちだけど、創業者含めて役職者は全員男性だった。

これから事業を大きくしていくために当然だけど女性も働いてもらいたい、だけど僕らは男性で、女性のことはわからない。わからないから、組織を今から作っていくタイミングで女性の声も取り入れながら土台作りをしたいよね。ざっくりそんな話を最終面接で聞かせてもらった。

「わからないから聞きたい、知りたい」
「違いがあるから分かり合いたい」

もしかしたら医学系の知見がある方なので、男女を私とは異なる感覚で「違う」と思ってるのかもしれない。でも、そうして他者に歩み寄る姿勢や、他人と目線を合わせて話をすることを私自身もおざなりにしがちじゃないか。

これまで男性多数の職場ばかりでジェンダーギャップを感じることが多く、子育てしていると「どうして男は…」と、つい斜に構えてしまうことがある。男はこうだから、女はこうなのに、と乱暴なくくりで知ったぶりやわかったふりをしたくなってしまう。あぁ反省します…。

わからないことを恐れずに、知らないことがあることを怖がらずに、硬く結んだ拳を開いて、またもう一度、誰かと手を取り合い、世界を昨日より少しだけ前に進めることができたなら。

それは転職するのに十分すぎる動機で、かつ長らくフリーランスでひとりで働いてきた私にとっては組織で働く理由になる。実は他社の方が良い条件のオファーをいただいてたけれど、まぁ入社してから昇給したろ、と彼と働くことを選んだ。

入社まであと二週間。長々と語ったけれど、転職先は古巣のIT系ながら全く違うジャンルになる。四十路も間近、わかりませんと言わざるを得ない状況にちょっとビビりながら、知らないことは新しい扉を開くことだと期待したい。

入社前の今の気持ちを残しておくと、先々初心に帰ってまた頑張れるかもしれないじゃない?失われた敬意と相互理解を取り戻す旅に出ようじゃないか!

なんてね、知らんけど。それではまた🎀

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