「それってあなたの感想ですよね?」は夫婦間でこそ使うべし
「夫に手料理についてダメ出しされたので、改善している」という話を立て続けにSNSで見かけてびっくりした。
私なら間髪入れずに「は?文句あるなら自分でやれば?」と言い返してしまうなぁ…と思ったが、そもそも我が家は食事は各自で用意することになっているので(息子の分は私が担当)、有り得ないシチュエーションだった。えらいすんません。
夫とは食の好みが合わず、帰宅時間も違い、財布も別で、夫にとって食は娯楽で楽しみだが私は生命維持の関心しかない。こだわりがない私は夫の料理を食べるけれど、夫は風邪を引いた時のうどんとお粥しか私の手料理を口にしたことがない。(単純に私の料理を食べたいと思わないらしい)
あらゆることが合わないので、無理して合わせる必要もないよね、と結婚前の同棲期間からずっとこのスタイルで特に不便はない。
話を戻そう。私はSNSに書いた人の現場にいたわけではないので真相はわからないけれど、日本人、特に女性は察しが良すぎるんじゃないかと思う。
「おかずが少ないよね」と言われるか
「おかずを増やしてほしい」と言われるか
前者は感想で、後者は要望だ。ただ、女性同士で話をしてると意見や感想を受けて「こんなこと言われた!」と怒ったり、はたまた「改善しなきゃ」と自主的に動いたりしている。
もちろんその背景には「大慌てで帰ってきて急いで作ったのに、そんなことを言われて悲しくなった」とか「いつも頑張っている夫を食事でねぎらいたい」という想いが隠れているのかもしれない。
でも、自分の生活事情が夫に正しく伝わってるとも限らないし、料理は夫のためだけのものではないだろう。要するに自他の境界が曖昧なんじゃないか。ただの感想を自分に向けられたと拡大解釈してるのでは?
一昔前に流行った「それって、あなたの感想ですよね?」はこういう時こそ使いどきじゃないかと思うのだ。あなたはあなた、私は私。
リクエストされたら受け入れるも拒否権を行使するのもよいし、せめて「それは、おかずを増やしてほしいってこと?」くらいは言った方がいいんじゃないか。
量が少なかろうが、味や彩りがどうとか、夫にも妻にもそれぞれ好みもありその日、その時の事情もあるだろう。もちろん限度はあるので言っていいことといけないことはある。度を過ぎたらハラスメントやDVも許容しろという理屈になってしまうだろう。
ただ、普段仕事をしていて「察して男」と「察しすぎ女」の多さにゲンナリすることがある。前者には「女だから気が利くわけじゃなくて、仕事だから先回りしてやってるだけだぞ?」と思うし、後者には「そんなこと言ってないんだけど、なんでそう受け取ったんや…」と頭を抱えてしまう。
食事に関しては何を出すか、いつ出すかは作る側に決定権があり、それを食べるか食べないかは出された側に決定権がある。いつぞやテレビの育児番組でそんなことを言っていた。
息子は食が細くて食事に苦労した時期があったので、この言葉にはずいぶん救われた。小さくても息子はひとりの人間であり、彼の権利を尊重しなくてはならない。まぁそう割り切れることばかりではないし、食べてほしい親心はあるが、自他の境界をはっきりせよという訓練だと思うことにしている。
もしかしたら「女なのに、妻なのに、母なのに、料理が苦手で、かと言って忙しいからと免罪符を持てるほどに責任のある仕事を任せられているわけでもない」ことへの負い目があるのかもしれない。
まだまだ修行が足りませんね!
それでは、また🎀