私の頭の中の「デキモノ」
私は、22歳のときに脳腫瘍であることを病院の先生から告げられました。
当時21歳の大学生だった私は、ギターを好きでしていました。ある日アンプから出た音が思うように聞こえにくいことから、耳鼻科へ行くことにしました。そこで、先生から言われたのは「就職活動のストレスかもね」という言葉でした。
そんなこともあるのかぁ、不思議に思いながら半年過ごしました。しかし一向に良くならず、それに加えて頭痛とむせてるような感覚が止まりませせんでした。最終的には入浴が思うようにできないほどに頭痛は酷くなりました。
普通じゃないと危険を感じ、頭痛の外来なんてあるのかな、ふと思い検索をすると頭痛外来の文字が見えたので予約してすぐ見てもらうことになりました。
頭痛外来の先生は、私の症状を聞いて「片足で立ってみて」と運動の神経に問題がないか確かめました。「特に運動も問題ないけれど、MRIやってみようか」と一言いってくれました。
当時私は、難聴頭痛やむせの症状などはありましたが、身体は特に問題があったわけではなく、正直「検査が終わったら洋服を買いに行こう。何にしようかな。もし検査して何かあっても命に関わることではないだろう」と思っていました。
検査が終わると検査結果をみて先生から一言。「ちょっと脳にデキモノができているから、次の病院へいける?タクシー呼ぶから緊急外来へいって」と。
私の中で「デキモノ」が何を指すことなのかもよくわからず、ただただ大学生の私にとって「タクシー代を自分で出すのか」ということの方が大きな問題であったということを深く覚えています。
先生から急いだ方がいいと告げられ、とりあえずタクシーに乗りながら姉に連絡をしました。
「なんか脳にデキモノがあるらしいから病院いくことなった」
すぐ姉から返信で「え、それデキモノって腫瘍?」と来たのを覚えています。
ですがその時、私は「いや、デキモノらしい」と返信して、デキモノ=腫瘍に全く考えが繋がりませんでした。
初めていく大きな大学病院へつくと、財布にタクシー代が払えるだけのお金はありましたが、診察を受けるお金はありませんでした。
((お母さんに後で連絡しよう…とりあえず緊急外来の受付ってどこにあるのかな))と病院の中へ行きました。
もちろんふつうの窓口のように緊急外来の受付などなく、受付の人に「すいません、緊急外来へ行けと言われたのですが」といい、案内していただきました。
緊急外来へいくと、救急車で運ばれてきた方がたくさんいて、なぜ今私がここを元気に歩いているのか疑問になったことを強く覚えています。
先生にMRIの結果を見せて、軽く運動のテストをした後、また違う先生が来ました。その先生は私に「脳神経外科の〇〇です」と自己紹介をしました。そこで初めて私は「脳神経外科」にかかる病気をしているのかと認識しました。
そして、その先生から突然こう言われました。
「落ち着いて聞いてください。率直にいうとあなたは脳腫瘍です。ですが、腫瘍が大きすぎてうちの病院では手術できません。お父さんかお母さんに連絡はしていますか?」
その宣告は、あまりに突然でした。
腫瘍は、脳幹を押しつぶすほどすぐ近くに5ほどセンチあることを伝えられました。
私はとりあえず冷静でいようと「ちょっと待ってください、あぁスマホスマホ」スマホを探すためにカバンの方を見た瞬間に涙が止まりませんでした。
今思い出すと、人間ってこんなに泣くことができるとだと思うくらい。それは止まらず、しばらく落ち着くまで、その場から席を外すことになりました。
大学生の22歳になったばかりで、会社の内定をいただいていた私にとって、とても耐え難いできごとでした。
命に勝るものが無いとわかっていても、当時私は
大学生はどうしよう、単位は足りているのか、バイトはどうしよう、
パニックになり、どうでもいいような考えが止まりませんでした。
そんな時、母が病院に着いたのを覚えています。
---------------------------------------
ツライコト思い出したら
心の声を聞いてみる
心の声と身体の声
同じことを忘れない