人事こそデザイン思考が必要だ(おまけ付き)
社会人のキャリア教育に燃えているスケさんこと、ミライフ佐藤雄佑です。今日はリクルート仲間、早稲田ビジネススクール仲間、人事仲間である青田さんにお声掛け頂き、HRアドベントカレンダー2020「○△に大切な□✗」にエントリーさせて頂きます。
僕がちょうど折り返し過ぎくらいかなと思いますが、これまでの人事界エースのみなさんの内容が素晴らしすぎるので、私は敢えて、ミライフという自社=n1をケースに、ニューノーマル時代の人事のイノベーションについて語ってみようと思います。お付き合い頂けたら嬉しいです。
ちょうど1年前にデザイン思考と出会い、体に電流が流れた
みなさんはデザイン思考はご存知ですか?最近では、名前は聞いたことがあるという人も増えてきたかもしれませんが、まだまだ内容について、詳細知っていたり、使いこなしていると言える人は多くないのが実情かなと思います。私も1年前はそんな状態でした。デザイン思考を僕の言葉で、簡単に説明すると
デザイン思考とはイノベーティブに課題解決する考え方。Human-Centric(人間の感情に着目)に問題の本質を捉え、5つのステップ(共感・問題定義・創造・プロトタイプ・テスト)で進めることでイノベーションが起こせるというもの。
早稲田ビジネススクール時代の仲間で、デザイン思考コーチの吉成さんがシリコンバレーより日本に帰国するということで、ちょうど1年前にデザイン思考キャンプなるイベントを主催させてもらったのですが、イベント主催者ながらも、参加者として参加させてもらって、そこで「僕がやりたかったのはこれだ!」って体に電流が流れたわけです。
⇓もうちょい詳しく知りたい方はこちらのグッドパッチさんの記事をどうぞ⇓
デザイン思考でキャリアクリニックという新サービスを生み出した
デザイン思考に出会ってから、一気にサービスのプロトタイプを作り、そこから何度も変形させ、ブラッシュアップさせていきました。結果、構想から2か月でミライフキャリアクリニックというサービスを作り、今年の3月からスタート。既に現在は3期生を実施しており、非常に満足度の高いサービスに育ってきました。で、その事業開発ストーリーはこちら。ただ、詳細は割愛。今日は人事がテーマなので。
人事こそデザイン思考が必要だ
前振りが長くなりましたが、いよいよ本題です。僕はこのデザイン思考を学んだ時に最初に思ったのは、「これ、事業開発じゃなくて、人事に使える!」でした。どこがそう思ったかというと「Human-Centric(人間の感情に着目する)」という考え方。通常はユーザーの感情を捉える訳ですが、人事なので社員の感情に着目すると考えました。
僕はリクルートキャリアの人事として、人事制度企画、異動や評価といった人事運用、組織開発、人材開発など幅広く経験させてもらいましたが、そこで感じていたのは、『リクルートであっても人事の考え方は古い!』でした。これは僕が事業出身の人事素人だったからそう思ったのですが、何か判断する時は前例主義だし、ルール主義だし、平等、フェア、全体最適を大事にするあまり、個別、個人という社員1人1人を見ていない。そう、全然Human-Centricじゃない。
もちろんそれが人事なのかなとも思うけど、社員をHAPPYにしてる感じはありませんでした。
仕事の喜びをデザインする
今年に入り、突然コロナがやってきて外部環境が激変し、会社と社員との関係性が大きく変化するタイミングが来たと思っています。だからこそ、僕は改めてデザイン思考(Human-Centric)で、ミライフの事業も、人事も作り直そうと思いました。
たとえば、ミライフのエージェント事業はHuman-Centricよろしくメンバーがストレスなく仕事ができるように、この仕事を嫌いになるポイントを予め取り除いて設計しています。たとえば、
✓ミライフにはざっくり事業計画はあるけど、業績目標が無い。なのでプロセスのKPIも無い。数字のためではなく、目の前の人を幸せにする仕事にトコトン拘る。
✓短期業績を追わない。なので、今月の数字とか全く気にしてない。そのため、カスタマー起点でゆっくりと納得のいく意思決定支援ができる。
✓クライアントは自分が自信もって紹介できる企業に限定している。そのため、業績のために無理に紹介することが無いので、変なストレスもない。もちろん、カスタマーのためにもなる。
✓カスタマーにとって一番最適な意思決定を支援する。うちの売上になるかどうかは関係ない。仮に売上にならなかったとしても、その方とずっと付き合っていける方がもっと価値がある。
などなど。メンバーにとっての日常は目の前の仕事なので、その仕事が楽しくなる(嫌にならない)ように体験をデザインしています。いくらビジョンで綺麗ごとを言ったとしても、日常との乖離で人のココロは離れていくから。
エージェントの仕事は三方良しの最高のビジネスだと信じているので、自分たち主語の変なルールを作ることで、この仕事をつまらなくしないと決めています。
よく、「これでやっていけるの?(売上あるの?)」と聞かれますが、このエージェント事業を始めてからずっと黒字で、コロナ禍の今年も昨年より売上が伸びています(いつもありがとうございます!)
採用活動をデザイン思考でやってみた
半年くらい掛けて2名採用する予定が、結論、採用活動1.5か月で4人採用することが出来ました。無名のおっさんベンチャーの採用活動としては本当にパーフェクトだったと思います。
では、どのようにやったのか?
今回は採用フローをHuman-Centricで考え、選考フローを再構築しました。デザイン思考的にいうと「全て相手に合わせて(共感・問題設定)、違うプロセスを設計し(創造・プロトタイプ)、個別最適で進める(テスト)」という感じです。
その中で、編み出したいくつかの必殺技(?)をシェアできればと思います。
①“個別”選考フロー設計
今回はwantedlyや自社HPからのエントリーに加え、リファーラルでお声がけして興味持って頂いた人など、かなり多くの方と接触させて頂きましたが、全て個別にお相手の経歴、ご状況、ご希望を考慮して、接触フローを設計。どのタイミングで、誰が会って、どんな話をするかを都度議論して決定。2回目以降の面談も1回目を踏まえて、個別に設計しました。
②何度でもカジュアル面談(全く選考せず)
よくあるパターンは最初の1回がカジュアル面談で、その後応募意志を確認して、選考に進んでいくと思いますが、ミライフの場合、相手のお気持ちに合わせて応募を焦らず、理解を深めるために何度もカジュアル面談をします。
③性格のいい会社プレゼン
要はミライフのビジョン、ミッション、戦略などをお伝えすることなのですが、「性格のいい会社」というコンセプト、すなわち『人に対する考え方があって、働きがいと多様な働き方を提供する』ことが、このコロナ禍、強く世の中から共感されてると感じました。これはミライフの武器。
④ライフラインインタビュー
デザイン思考でもユーザーインタビューで使われるメソッドを使って、ライフラインインタビューを行います。その場で、幼少期からのライフラインを書いてもらい、そのアップダウンを中心に、背景や想いをインタビューしていきます。
⇓その場でこういうの書いてもらいます。これは僕のライフライン
⑤価値観インタビュー
佐藤、松尾のミライフ経営陣と候補者の方の3人で、お互いの価値観について質問をし合い、語り合うミーティング。1人の質問に対して、3人が全員答えます。相互理解をしたうえで、お互いにフィットするかを感じる場。候補者の方にも、僕らと合うかを自分でも見定めてもらいたいと思っています。
⑥理想未来インタビュー
ご自身の理想未来(Doing/Being/価値観)を語ってもらい、本気でミライフに来た方がいいか、他社でそれが叶う会社があるかなど、みんなで議論。ミライフじゃないと思ったら、フラットにちゃんと伝えます。
⑦○○さんのミライフシナリオ(お手紙)
これはカジュアルに面談を数回したのち、僕と松尾の二人で「○○さんがミライフに来たらどんなことがプラスで、どんなことがマイナスか、将来はどうなるだろう?ミライフきたらHAPPYかな?」と、候補者の立場になって真面目に議論して、そのメモをミライフシナリオという形でお渡ししています。裏話としては、このお手紙を書く時点で、ミライフとしては、一緒に働きたい方だなって思っていますw
⑧応募頂くと同時に内定(選考無し)
お手紙を渡した後、応募確認を初めて取るのですが、タイミングも本人にお任せなのでひたすら待ちます。そこで、本人が受けたいと言ったら、即「内定」になります(笑)なので、結果として面接してないのに、内定という感動体験を生み出します。
などなど、個別に目の前の相手に合わせて、最適なコミュニケーションはどのような形なのかと検討してきたので、いろんなバリエーションが生まれましたw
【おまけ】○○さんのミライフシナリオ(お手紙)
最後に、メンバー本人にも承諾を頂いたうえで、上記⑦で書いた「ミライフシナリオ」という名のお手紙を見せれる範囲でお見せして、締めたいと思います。今回は内容を少し割愛してますが、実際は3000字を超える超大作になっていますw(内容興味ある人は拡大して見てください)
さて、最後ここまで読んでくれた生存者はどれくらいいるのでしょうか??
人事は従業員を守るという意味合いで、法律であり、制度が必要である一方、そのルールに縛られ過ぎているのではないでしょうか?
リスクをゼロにする、すべて平等に対応する、性悪説で管理する、ルール通りやれば怒られないみたいなことを捨てて、目の前の社員個々の感情に着目して、デザイン思考的アプローチで向き合う。社員のHAPPYにこだわる。そんな会社があってもいいのかなと思っています。
ニューノーマルの時代、そういう会社にこそ、優秀な人材が集まると信じています。
ミライフがこれで上手くいくか分かりませんが、それもまたプロトタイプということで、常に変えていければと思います。これからも新しいチャレンジを続けていきますので、応援宜しくお願いします!!
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