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あなたは縛られている

先日「82年生まれ、キム・ジヨン」という作品を、やっと読むことができました!話題になってから結構経ちましたが、感想を書いていきたいと思います。

この本は主人公の人生を振り返っていく物語で、人生の節目でごとに章が分かれています。すべての章で主人公は様々な苦労に悩まされるのですが、それらは主人公が女性であることで発生します。この作品の舞台は韓国ですが、男性社会である状況は日本でも変わらないです。

特に印象に残ったシーンで、主人公と夫が子どもをもうけようという話がありました。ためらう主人公に夫は、「失うもののことばかり考えないで得るものについて考えてごらんよ」と言いました。そこで主人公はこのように言います。

「それで、あなたが失うものは何なの?」
「え?」
「失うもののことばかり考えるなって言うけど、私は今の若さも、健康も、職場や同僚や友だちだっていう社会的ネットワークも、今までの計画も、未来も、全部失うかもしれないんだよ。だから失うもののことばっかり考えちゃうんだよ。だけど、あなたは何を失うの?」(129ページ)

夫も、今と同じではいられなくなると言いますが、それは日常の負荷が大きくなるだけであって失うことではないです。その違いを男性側は自覚していませんでした。


女性がいかにナチュラルに抑圧されているかを知らされる小説でした。少し昔の話も含まれていましたが、共感できるエピソードばかりでした。また、登場する男性たちも全員悪気はなくただ無自覚なだけで、そこがよりリアルだなと感じました。

この本は物語としてではなく、自分のこととして受け止めてほしいです。制度が変わっても人が変わっていかなければ、状況は改善しないことを痛感しました。この本が誰かの気づきのきっかけになればいいなと思います。

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