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会社の「価値観」を決めようとしたら、「危うさ」が露呈した話。

ローンディールという会社も、創業から7年が経とうとしています。そして、メンバーも少しずつ増えて20人近くになりました。

私たちローンディールは、「レンタル移籍」という事業をはじめとして、企業で働く人に「越境」する機会を提供し、個人の成長に寄り添うことや、組織の変革を支援するという、今までにない事業を生業としています。

また、私たちの組織には、
・コアタイムの無いスーパーフレックス
・社員の8割が副業をしている
・事業計画がない
・代表である私も含めて一律の給与水準
・・・という感じで、組織運営にも独特なところがあります。

つまり事業内容も組織運営もちょっと変わったところがあるので理解するのが難しい。それに、少しずつ進化をさせて今の形になったので、やはり入社のタイミングによって「なぜこのようなことをやっているのか」ということに対する解像度に差が出てしまいます。

そんなこともあって、改めて私たちローンディールという会社の「価値観」をみんなで考えてみました。

と、いうことで今日は、私たちが自社の「価値観」を考えたプロセス、どんな形で整理をしたのか、そしてどんな学びがあったのか、ということについてお話をさせていただきます。

私たちが、事業に向き合ううえで大切にしていることを知っていただけたら嬉しいです。また、組織運営の面でも何か参考になる点があれば幸いです。

誰も読まれていなかった行動原理

そもそもローンディールには、会社のPrinciples(行動原理)というのがあって、HPにも掲載をしているんです。

・・・が、しかし!

実はこれ、創業当初にひとりでつくったものなんですね。(いつかできるであろうチームを夢見て、妄想しながらつくった、ちょっと切ないPrincipleです。笑)

だから、誰も覚えてないし、下手したら存在すら知られていなかった。
一応、今HPに乗っているPrincipleはこちら。

けっこういいこと書いていると思うんだけど笑、読まれていない、覚えていない、では意味がないですよね。

ということで、改めてうちの会社の価値観ってどんなものかを考えてみよう、ということになったわけです。

グループで、それぞれに価値観を考える

そこで私たちがとった方法は、「グループワーク」です。ビジョンとか価値観をつくるプロフェッショナルの方というのもいらっしゃるし、そういう方々とやるという方法もあるのでしょうけれど、自分たちの価値観は自分たちで考えたいな、と。

ということで、メンバーみんなで議論するというスタイルをとりました。

具体的には、メンバーを4~5人のチームに分けて、ファシリテーターを指名。それぞれに会社の価値観を議論してもらい、2か月後に発表会を開催するということだけ決めておきました。あとは、どうやって議論を進めるかという方法論は特に指定せず、みんなにお任せをしました。

ちなみに基本的にこういうのをやるとき、私たちはオンラインホワイトボード「miro」を使うことが多いです。今回も、各チームそれぞれmiroを使ってオンラインでグループワークを実施していたので、以降、いくつかmiroの中身もお見せしながら紹介していきます。

さて、実際にグループ分けをして様子を見ていると、早速それぞれプロセスに違いが出てきます。数回のミーティングでギュッと議論をしたところもあれば、かなりの頻度でランチミーティングなどを行って整理をしていったチームもある。ほんと、同じテーマに取り組むにしても、アプローチの仕方やスタンスはいろいろですね。

(あと、本当は私も参加したかったのだけど、やはり創業者がコメントするとそれに引っ張られそうなので自粛しました。みんなが楽しそうにグループワークをやっているのを横目に、寂しい思いをしていたのはここだけの話です。笑)

そして2か月が経過し、先日、発表会が開催されたわけです。(私たちは月に1回、土曜日にみんなで集まって、腰を据えて話したいことを議論するということをやっています。この発表会も土曜日に開催されました。)

4つのチームからどんな「価値観」が出てきたのか、それぞれの発表をご紹介してみます。

①「今のPrinciple、いいんじゃない?」

1チーム目の発表は何と、今、HPに載っているPrincipleを読み込んでもらった結果、これってなかなかいいよね、フィットしているよね、というものでした。(これは地味に嬉しい。)

ただ、それをもっと進化させるために、いろいろな仕掛けをつくったり整理をしたりしたらよいのではないかという提案。

例えば、「あと一歩、もう一歩」というワードがあるけれど、年に1回、今年はどんな「もう一歩」を踏み出せたのか、ということをしっかりみんなで振り返るのはどうかな、と。

確かに、HPに載せるだけでは浸透するはずもないので、時々それについて議論をする時間をつくるというのは、どんな価値観だったとしても重要ですよね。


②キーワードは「存在感のある黒子」

2チーム目から出てきたワードは、「存在感のある黒子」ということ。私たちは、レンタル移籍をしてくれる人や、大企業・ベンチャー企業で変革に取り組む人の応援者であるということを改めて強く意識した価値観が出てきました。

そんな黒子としての心意気というか、大事にしていることを6つにまとめてくれています。

例えば、「ジーンこそすべて」というのがありますけど、私たちは、「ジーン」とくることをエネルギーに日々仕事をしていて、やっぱそれだよね、と。

あと、「水に一滴、岩をも穿つ」って渋い。いきなり大きな変化は生めないのだから、結局ちょっとずつ、じっくり腰を据えてやっていこうっていう。みんな納得の6つの価値観でした。


③今回のワーク最大の力作

3チーム目、ここが一番時間をかけて議論をしたチーム。もう、どんだけmiroを縮小しても納まらないくらい話しまくっていた様子が・・・。
(ちゃんと本業もしてね笑)

そんなプロセスを経て生まれた力作がこれ。さすがにこれは全部紹介したい。

もうほんと、これでいいんじゃないか、というクオリティじゃないですか?いやーやっぱり時間をかけて議論しただけのことはあって、すごいものが出てきたなぁ・・・と思っていたところ。

最後の発表となった、4チーム目の提案はまさかの・・・

④「明文化しない」というオチ

うちの組織の場合、価値観みたいなものは明文化しない方が良いのではないか、というもの。

ここまで3チーム、具体的な価値観のワードが出てきた中で最後に、「言葉はいらなくない?」という。

いやー、そうきたか、という感じですね。でもちゃんとそこには理由があって・・・言語化してしまうと「らしさ」にとらわれてしまって、組織の面白さが無くなっちゃうんじゃない?ということです。

それはそれで納得感のあるものでした。そしてその代わりに、例えば「社史」をつくろう、といった新しい提案も上げてくれました。

以上のような内容を、それぞれファシリテーターを中心に説明してもらって、みんなからもコメントをもらって、大いに盛り上がった発表会でした。

これをどうやってまとめるのか

以上にご紹介したような4通りの価値観(と考え方)が出てきたわけですが、これをどうやって収束させていったのか?というのが気になるところですよね。

結論から言うと、はい、収束しません。
無理。笑

そもそも、どのチームの発表に関しても、他のチームのみんなもかなりの割合で納得感を持っていた。考えてみたら、どれが正解でどれは間違っているっていうものでもないなぁと。

もっと言ってしまうと、ここであらためて価値観を決めることよりも大きなものがすでに手に入っているな、と感じたので、もはや収束させる必要はないと感じてしまった、というのが正直なところです。

それは、みんなが「自分たちは何を大事にしているのだろう」ということを考え、話し合い、共有できたこと。実はその時間こそが一番大事なんだと、思ったのです。

(ただ、やりっぱなしもよくないな、ということでこのnoteを書いているという節もあるわけですが・・・。)

ローンディール流、価値観のつくりかた

ということで、今回、このワークをやってみて気づいたことを整理します。価値観みたいなものって、むしろすでにそこにあるということ。

社内用語的にみんなが日々使っている言葉の端々に、価値観が見え隠れしたりしているんですね。例えば、今回のグループワークでも出てきた、「ジーン」とか「味わおう」とか、そんなキーワード。私たちからすると、やっぱりそうだよね、という感覚があったんです。だからそういう言葉を、丁寧に掴まえておきたいなと思いました。

ただし、そうやって掴まえた言葉を一つずつ明確に定義してしまうと、それはそれで捕らわれちゃうというか、思考停止になっちゃうというか、そういうこともあるように思うんです。みんなが使っているけど、この言葉って何なんだろう?っていうことに、一人ひとりが思考を回していく。その思考のなかで、価値観がみんなのなかに入っていくのかな、と。

一方で定義がないから、上手く共有されないリスクもある。だから、時々、自分がそれをどう感じているのか、他の人はどう捉えているのか、そういうことをお互いに話し合うことも必要なのかもしれません。今回のようなグループワークはそういう機会として、とても良い時間でした。

つまり、私たちローンディール流の価値観の形成の仕方は・・・

日々、社内で使われる言葉を大切にする。
でも、明確に定義をしない。
時々、みんなが感じていることを対話する。

そんなサイクルを回していくってことなんだな、と思っています。

日々、言葉を大切にする仕掛けとして、Slackのスタンプなんかもいいですよね。下のやつは今回のグループワーク後につくってくれたもの。こういう小さな仕掛けも、価値観を共有するために大切ですよね。


気付いたら、危うい会社だったらしい

今回のグループワークの発表会には、うちのアドバイザーをしてくれている小国士朗さん(「笑える革命」は名著ですw)にも参加してもらいました。

そして、発表会の総括で、小国さんに開口一番「危うい会社だなー笑」って言われました。

どういうことかというと・・・
それぞれ、考えていることがバラバラ。
そのうえ、それを揃えようともしない。
挙句の果てには、言語化しないということも良しとしてしまう。
そんな状態で、会社が成り立つの?
それってすごい危ういことだよね。
(でも、それがサイコーなんだけどね、という優しいお言葉も。)

そうだなー、確かに危ういな、って思います。
「ローンディールらしさって何だろうか」
「今、自分がとろうとしている行動はローンディールらしいのだろうか」
そういうことを一人ひとりがゆるやかに考えていて、どういう解釈をしているかはみんなに委ねてしまうから。

うん、でもそれでいいかな。

危ういからこそ、私たちはここにとどまろうと思います。
危うさと向き合って、いこうと思います。
危うさが少しの緊張感を生みつつ、それよりもちょっとだけ多めの安心感をもって、みんながこの場所にいてくれたらいいな。

危ういかもしれないけど、そんなにやヤワではないし、なかなか面白い文化が育まれていくような予感がしています。

・・・

と、いうことで、ちょっと長くなってしまいましたが、今日は私たちローンディールの価値観についてご紹介してみました。

こんなローンディールですが、これからもどうぞよろしくお願いします。

ちなみに発表会の日は、うちの新卒入社予定の鈴木さんが大学の卒業式で、晴れ着でオフィスに・・・なんだか嬉しい一日でした。ということで、記念にその写真も。


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