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わたしのこと(その2)
助けてもらう勇気、支える側になる日
私は3人兄弟の長女として育ちました。
そのせいか、小さい頃から人に頼るのが苦手でした。
気を遣うし「できない」とか「助けて」と素直に言えない。
弱音を吐いてはいけない、しっかりしないといけない。
「こうあるべき」という思い込みも強かったと思います。
そんな私が母の力を借りることになったのは、出産後のことでした。
夫の入院、そして自分の体調不良——。
初孫誕生の喜びと同時に、私たちを心配した母は、
フルタイムの仕事をしながら懸命に支えてくれました。
私は子どもの頃から、働く母に憧れていました。
でも、その母が仕事を休む日が増え、私は申し訳なさでいっぱいに。
「夫と子どもふたりくらいなら、私ひとりで頑張れる、できる——」
そう自分を奮い立たせましたが、頑張ろうとするほど空回り。
乳腺炎で母乳が止まり、味覚がなくなり、
何度か過呼吸で倒れました。
もう限界。
そんな私に、母はもちろん、実家の家族、ご近所の方々——
本当にたくさんの人が助けの手を差し伸べてくれました。
ご近所の人たちは、私が気づかないところまで支えてくれ、
「できることを分担しよう」と、自然に動いてくれました。
感謝しかありませんでした。
少しずつ元気を取り戻すと、今度は申し訳なさが募りました。
「こんなにしてもらって、私は何も返せない——」
(誰も見返りを求めていないのに、勝手にそう感じたのです)
そんな時、いつもお世話になっていた方に、
「やってもらうばかりでごめんなさい」と伝えると、
こんな言葉をかけてもらいました。
「人に何かをできるって幸せなことなんだよ。
やってくれた人にお返しするのではなく、
自分ができる番が必ずくる。
本当に辛い時、人に頼るのは勇気がいる。
『できない』と言うことは、勇気がいる。
あなたは、それを知っている。
だから、いつかあなたが何かできる時がきたら、
目の前の人に、あなたができることをしてあげればいい。」
その言葉を聞いた時、肩の力がスッと抜けました。
そして、いつか私も誰かの役に立てる時がくればいい——
そう思えるようになりました。
それから20年以上が経ちました。
あの時の周りの人の支えと言葉が、
今の私の子育て支援活動につながっています。
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