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せいかつの軌跡(26)

哲が子どもたちを連れて新潟へ行った。

サッカーの試合を観るらしい。私は静かな場所が好きなので、今回はお留守番。ほぼ丸一日、こんなに長い時間トモシと離れるのは初めて。自分の時間を得た喜びと、何か大事な忘れ物をした時のような、落ち着かない気分を朝から行ったり来たりする。

午前中、音楽やラジオを聴きながら家のことをして、少し散歩に出た。明日から佐渡は雨の予報。畑のラディッシュなどの芽を間引いて、鶏にあげた。

午後は個人通信を描いて、買い物へ。帰りに近所のおばあちゃんから、南瓜とメークインを大量に頂く。

帰宅後、頂きもののお野菜で来週のかないマルシェ用のカレーの試作をした。齋藤家はこのイベントで、「純喫茶さいとう」を一日限定オープンする。平清水産のお野菜やお米で、うちの子どもたちに食べさせたいカレーを出す予定だ。相川のイベントと同じ日なのでお客さんが来てくれるかちょっと心配だが、とにかくやる。

たぶん産後初の、静かな一日。自分のペースでやりたいことが出来て幸せだけど、なんだか静か過ぎて、予定通りで、ちょっと物足りない。ずっと音楽をかけっぱなしにしておいた。家族といる時間も、一人の時間もどちらも同じくらい大切だ、と思う。

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最終便で、三人が義父と義妹を連れて帰宅。彼らは今日から二日間、うちに泊まることになっている。遊び相手の登場に、子どもたちのテンションは最高潮。限界まで遊び、気絶するように眠りに落ちた。

翌朝、みんなから昨日の話を聞いた。私の居ない一日、トモシはほとんど泣かず、昼寝もせず楽しく過ごしたそう。(それはそれで、何か寂しい。楽しかったなら、良かったけど。)

私の知らない場所で、彼はとても逞しい。毎日少しずつ私から離れていくと同時に、トモシという人間の、輪郭みたいなものが出来ていくのを感じる。子どもの成長は嬉しくて寂しくて、希望のようだ。彼が見つけた世界の色々を、彼の言葉で話してくれる明日を楽しみに思う。


ぼんやりと生まれる私息をして

めきめき生まれる君を見る、の日


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