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せいかつの軌跡(28)
マルシェの翌日は母子ふたりで、のんびり過ごした。
散歩に行こうと言うので、朝から外遊び。晴れだけど、リクエストに応えて傘をさして近所を歩いた。トモシが歩くと、うちの二匹の猫たちも後からついてくる。傘を手に歌って踊る二歳児と、猫たちと私。ケモノたちのチンドン屋ができそう。
ごっこ遊びも色々した。最近の彼のお気に入りは「パパごっこ」。山に仕事へ行き、保育園にバイクで迎えに来る哲を演じる。
「さみしかった?帰ってきてくれて、ありがとう。」
と言って、ハグしてくれるトモシ。愛しげ過ぎて、つい何度も私から「もう一回パパごっこしよう!」と誘ってしまった。
ただ、二歳にしてこのイケメンぶり、、やや将来が不安になる。女難の相はないか。
夕方、山から哲が帰ってきた。ビールを開けて薪の火を見ながら、今日の話をした。
「トモシはどんどん可愛くなる。」
と哲は言う。母性と父性の誕生にはかなり時間の差があるらしい。私にはトモシはずっと可愛く見えている。疲れていない時は。
保育園に通う生活にも、母子ともに慣れてきた。ずっと一緒にいた我が子と離れ、人に預けるのは違和感があったけれど。平日それぞれの時間があることで、今日みたいな休日ワンオペもふたりの貴重な時間、に思える。今あるもの・できることの中で、面白さを見つけていけるといいな。
ありのままケモノのダンス秋開く
廻る雨傘わらうお日様