せいかつの軌跡(17)
ともしロス
哲と子どもたちの三人だけで、一泊二日のキャンプに出かけた。
卒乳・断乳チャレンジに失敗してしまい、彼は今も新生児なみのペースでおっぱいを求めてくる。外遊びやおやつで気を逸らす作戦も効果ナシ。
「パイパイ〜!!」と叫んで母を押し倒し、服を捲って乳首に吸い付く時のパワーは、二歳児のものとは思えない程凄まじい。必要なものを得るための懸命さ、スゴイな。子どもって本気だ。
そんな様子の彼に卒乳を促すのは、かなり心苦しい。それでも、、私はもっとお酒が飲みたい。夜ぐっすり眠りたい。夫婦の時間を楽しみたい。わたしの幸福の為に、息子にも協力してもらおう。
卒乳の決意を固め直し、母抜きの卒乳ブートキャンプに息子を送り出した。
子どもたちの就寝時間が過ぎた頃、哲にLINEを送る。
み「お疲れ様。みんな大丈夫?寝た?」
哲「一瞬だけ夜泣きしたけど、ぐっすり寝てる。」
ホッとする反面、寂しさが込み上げる。いつも私と一緒じゃないと寝なかったはずなのに。飲む子の居ないオッパイは、パンパンに張って岩のよう。息子の成長は、嬉しいより圧倒的に寂しい。
あんなに求めていた自分の時間が手に入ったのに、何も手につかず寂しさを書き散らかした。読みたい本、観たい映画、作りたいもの、やりたいこと。たくさんたくさん、あるはずなのに。何もする気が起きない。完全に息子ロス。母子の最大の課題は子離れか。今すぐ仕事に出たい。畑の草を刈りたい。夜中だけど。
私もトモシも、それぞれに必要なもの、そうでないものは日々変わっていく。差し伸べたい手を引っ込めて見守るって、むずかしい。一生ベンキョウ出来そうな科目だ、と思う。
【今日のうた】
「大丈夫」連絡と笑う子の写真
ぽっかり空いた自由と自分
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