9. 第94回箱根駅伝・関東学生連合
2017年、第94回箱根駅伝の予選会は、2016年に続き歴史的な波乱の大会と言われた。
誰もがその名を知っている箱根駅伝の常連校、日本大学、明治大学の2校が揃って予選落ちしたのだ。
明治大学は、箱根駅伝第1回大会に出場した「オリジナル4」の1校であり、日本大学も第3回から出場している古豪である。
じつは前年の93回大会では、同じく古豪の中央大学が予選落ちし、戦前から87回繋いできたタスキが途絶えていた。
前年の中央ショックに続いての日大&明大ショック。
箱根駅伝に今までとは違う現象が起き始めている。
私は、箱根駅伝に関する情報を集めながら、それは「新興勢力の台頭」という一言では片づけられない事象のように思えた。
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予選会11位(次点)だった日大の武者監督は、予選落ちした大学からの選抜メンバーで構成される「関東学生連合」を率いることになった。
大会前に発表された区間エントリーを紹介しよう。
大学駅伝に詳しくない方、つまりクラファンを始める前の私と同レベルの方は、この布陣がどれだけ特異なのか、ピンとこないかもしれない。
このメンバーのうち、日大、明大は箱根駅伝常連校、専修、亜細亜、東京農大あたりも、最近は当落ライン上ではあるが、箱根駅伝の常連校といってよいだろう。(亜細亜は総合優勝の実績もある)
ポイントはそれ以外の学生さんの所属大学である。
1)東大、筑波大の2人の「国立大学生」が出走メンバーに入っている。
しかも1区、5区の主要区間を担っている。
2)久しく箱根駅伝本戦から遠ざかっている「オリジナル4」の慶應が出走メンバーに入っている。
私のようなにわか者でも気づくのだから、もちろんスポーツ関係者が気づかないはずがない。
「文武両道ランナー」という切り口で、この3名の特集記事を組んだスポーツ誌もある。
全くの私見だが、このときの関東学生連合は、翌年以降の「新しいムーブメント」の萌芽となった、と私は感じている。
もちろんそのキーマンは、東京大学の近藤秀一さん(現・東京大学院&GMOアスリーツ所属)だ。