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12.「戸塚の3秒」を生んだ代走

チームつくばタイトル

駅伝ファンの中には、第94回箱根駅伝の関東学生連合ときいて「戸塚の3秒」を思い出す人がいるかもしれない。

戸塚の3区中継地点で、繰上げスタートまで残り3秒のところでかろうじてタスキが繋がったエピソードである。
2区を走った長谷川柊さん(当時専修大2年、現・カネボウ)の調子があがらず、厳しい戦いとなった。ハラハラした人も多いだろう。

ある駅伝ファンの方が、過去5年間の記録をたいへんわかりやすくビジュアライズくださっている。
各区の全選手のタイムを数直線上に表し、年ごとに比較したものだ。トップと最後尾の選手とのタイム差や、年ごとの傾向が一目でわかる。

1区のグラフを紹介する。

数直線の一番上の緑の〇が区間トップ選手、赤い〇が区間10位、青い〇はその他の選手を表している。
2018年(第94回)数直線の下端、1時間5分付近にある、最後尾の選手を表す〇に注目して欲しい。
最後尾は最後尾でも、過去5年間で「一番速い」最後尾だ。

これが、近藤秀一さんの代わりに1区を走った、矢澤健太さん(当時芝浦工大4年)である。
準エースがひしめく1区でトップから3分以内。
私が申し上げるのもおこがましいが、堂々たる成績である。
「戸塚の3秒」は、この1区の矢澤さんの力走によって繋がったと私は思っている。

矢澤さんは、芝浦工大初の箱根ランナーとなった。
しかも、彼のプロフィールを知って驚く。

矢澤さんは大学から陸上を始めて、箱根駅伝に出場していたのだ。

今年(2020年)、中央学院大の武川流以名さんが「陸上経験ゼロ」からの箱根駅伝出場で話題を呼んだが、実は前例があったのだ。もしかしたら、矢澤さんの存在が彼の進路に少しは影響を与えたのかも?などと勝手に夢想している。

筑波大学のクラウドファンディングに関わったことで、箱根駅伝の予選会当日、私は芝浦工大の応援団さんに偶然出会い、一緒に選手たちを応援した。
(詳細は、5.それ、しろたんですよね?を参照ください)

その芝浦工大の学生さんが関東学生連合入りし、しかも当日エントリー変更で箱根駅伝に初出場された。この不思議な巡り合わせは、箱根の神様が私に何かを伝えようとしたのではないかと思うようになった。

箱根を目指す道はいろいろあっていい。そして、どの道も尊い。

矢澤さんの力走は、翌年の関東学生連合にその魂が引き継がれることになる。

【おまけ】
芝浦工大初の「いだてん」となった矢澤健太さん。
足は芝浦工大いち速かったが、大学では「駆け込み乗車をさせないための研究」をされていました♪( ´艸`)


>>13.存在の証(あかし)


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