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「信長を殺した男」10冊ください。(2)
これは、一人の推しバカの「信殺」布教活動記録である。(全3回)
→「信長を殺した男」10冊ください。(1)
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つぎのターゲットは総合書店チェーン。
コミック担当さんに「信殺」のファンになってもらう作戦だ。
どんな業界でも、売場担当さんがその商品のファンになってくれれば、売れ行きや在庫を気にかけてくれる。
一番強力な「インフルエンサー」だ。
読んでもらえさえすれば、中身には絶対の自信があった。
でも、毎週膨大な新刊が出る中、気に留めてもらうのは容易ではない。
ただ予約するくらいではインパクトが弱い。
そこで、近場のチェーン店を巡って3冊ずつ予約した。
新刊を予約する人はいても、同じマンガを3冊予約する奇特なヤツはあまりいない。
しかもきいたこともないタイトル(その当時は…ね)の1巻だ。
3冊も予約で押さえられると、下手したら店頭に出す本がなくなる。
案の定、どこの書店でもチェーン本部に配本確認の電話をしていた。
そして最終的に、大丈夫だと思うけど確証はない、納品数が足りなかった場合は連絡する、と回答してくれた。
この時点で、ゲリラ作戦は半分成功したといっていい。
「初回配本だけでは在庫切れを起こすかも」とチェーン本部が危機感を持てば、本部から取次へ情報があがって増刷の可能性も出てくる。
そこまでいかなくとも、業界の人たちが「信殺」の話題を口にしてくれたことだけでも価値がある。
ついでに、ネットで発表済だった特典リーフの配布有無もきいた。
知っている店員さんは皆無だったが、リーフが店舗に届いたとき、
「あの客が言っていたのはこれか!」
と、少しは記憶に残ったと思う。
予約手続きが終わった後、
「お忙しいのにお手数かけてすみません、ありがとうございます!よろしくお願いします!」
と何度も何度もお礼を言った。
もちろん、こんなメンドクサイ客の相手をしてくれてありがとうって、心から思ったこともあるけど、この本を取り扱ってくれてありがとうって感謝の気持ちを伝えることが大切だと思ったから。
買う客の印象が悪いと、推し作品がどんなにすばらしくても印象が悪くなる。
たくさん買いたいだけなら、ネット書店で確実に買える。それなのに、こんなになりふりかまわず書店で買って応援しようとするファンがいる。
どんな作品なんだろう…って少しでも興味を持ってほしかった。
必死だった。
信殺1巻を予約したとき、書店員さんは誰一人、このタイトルを認識していなかった。
信殺2巻を予約したとき「ああ、信長を殺した男ですね」と通じるようになった。
信殺3巻を予約したとき「いつもありがとうございます」ってにっこりされた。
そして、新刊だけでなく、少しずつ在庫も並ぶようになった。
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