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11.フタエノキワミ

チームつくばタイトル

2018年1月2日早朝。
残酷な現実が「二重(ふたえ)の極み」となって私の胸を粉砕した。

第一撃は、私のTwitterのTLに流れてきたこのつぶやきだった。

え、近藤くん、走らないの!?どういうこと!?
慌てて「当日エントリー変更」の情報を検索、一覧表になっているものを発見する。表の一番下が関東学生連合だ。1区の欄を見る。

「近藤→矢澤」
確かに変更になっている。

箱根駅伝では、他大学との駆け引きで「当日エントリー変更」を行う場合がある。主力選手を敢えて控えにしておき、他の大学の配置状況を見て、当日どこに投入するかを決めるのである。
だが「関東学生連合」は、基本的に実力上位の選手から割り振られる。
とくに、近藤くんは予選会成績がトップだったし、志願して1区を走ることになっていたはずだ。戦略的交代はあり得ない。

すぐに本人のtweetにアクセスした。

い、インフルエンザ………マジか…(泣)

関東学生連合の選手の中でも、筑波大学と同じ国立大学の近藤くんには、ひときわ心寄せられるものがあった。
今年が三度目の正直になるはずだったのに。なんということ…

放心状態で表をぼんやりと眺めているうちに、恐ろしいことに気が付いた。
同じ行の5区の欄が赤い。え、5区って相馬くんが走るはず…

第二撃が襲った。

え!?えぇ!?ウソでしょ!?誰かウソって言ってよ!!!!!

モニタの前で半狂乱になった。
だが何度見ても、「相馬→田島」としか読めない。

相馬くんに何が起きたのか。
その理由は、1区がスタートしてから公式発表された。

弘山さんはマスコミ取材で、相馬くんのことを「非常にストイック。負けず嫌いでせっかち」と評している。
その性格が裏目に出たのかもしれない。

私の第94回箱根駅伝は、スタート前に終わった。
この年の箱根駅伝の出走メンバーで最も応援していた2人が、揃って欠場したのだ。
失意のどん底で、必死に自分に言い聞かせた。
相馬くんは1年生。このあともまだまだチャンスはある。近藤くんだって、選出ルールが変わらなければラストチャンスがある。
それを希望に今年1年、自分の伴走車をもっともっと磨くのだ。ガンバレ、私。
近藤くんの代わりに走る矢澤くん、相馬くんの代わりに走る田島くんを、しっかり応援しよう!

1区走る矢澤くん、どこの大学だっけ。さっき見たtweetに、大学の旗が近くに何とかって…

『芝浦工大!?』

>>12.「戸塚の3秒」を生んだ代走

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