我が家のふとん問題
ふとんの中から出たくない――
という『打首獄門同好会』の曲が似合う季節です。
私が子供のころは、割とどの家庭でも、綿100%のふとんに寝ていたと記憶しています。
そして現在も、我が家はすでに少数派、と言われているふとん派です。
現在日本では、どの世代でもふとん派よりベッド派が多数になっているそうです。
みなさんは、今、どんな寝具で毎晩お休みでしょうか。
不動産屋さんの広告やサイトの、戸建てやマンションなど、新しいお家のお部屋の様子を見ると、たいてい、ベッドが設えられています。畳の部屋の写真は中古市場でないい限り少ないですし、なるべく写真には載せない雰囲気。
寝具メーカーの西川が日本睡眠科学研究所を起ち上げて毎年「睡眠白書」というものを出しているようなのですが、それを見てみると「日本人の多くは不眠の悩みを抱えていて寝具が大切」というようなことが書いてあります。かといって「ベッドかふとんか」という最も基本的なことには触れておらず、「開発したマットレス」を用いて正しい環境で寝ることに重点が置かれているようでした。
厚生労働省の「健康実態調査結果の報告」というものを覗いてみても、不眠や睡眠の質には触れているものの、寝具については何も。
いや、あの。
実際、知りたいのは「ふとんかベッドか」なのですよ。
研究、ということになると「睡眠」に重点が置かれ、寝具は大切とするものの、ベッドかふとんか問題は解決しない感じです。ふとんを床や畳に敷くのか、ベッドにマットレスなのか、ベッド(すのこベッドなど)にふとんなのか、とにかくそういうことは一切書かれていないのです。とにかく「研究開発した優れたマットは必須」のようですが、それを置くのは畳でもいいのかベッド限定なのか何も書いていません。
ネットにはふとん派VSベッド派についての考察記事が溢れていて、どちらかというとベッド派に軍配が上がっているようです。
理由は次の通り。
ベッドのメリットとデメリット
メリット①腰など身体に負担がかからず寝起きが楽
メリット②片付ける必要が無い
メリット③ほこりやハウスダストが少ない
デメリット①場所を取る
デメリット②落ちる危険性
デメリット③処分が大変
ふとんのメリットとデメリット
メリット①落ちない
メリット②スペースを広く使える
メリット③メンテナンスができる(干す、直すなど)
デメリット①毎日の片付けが大変
デメリット②ほこりを吸いやすくメンテを怠ると汚い
デメリット③ 冷える(冷たい空気は下に行く)
ふとん屋さんはふとんに寄りそい、ベッド屋さんはベッドに軍配を上げる感じの評価になりますね、やはり。
ふとんかベッドか、というのはつまり、好み、ということだろうと思います。そして何を基準に選ぶか、ということで変わってくるのだろうと思われます。
高齢者や被介護者がいればベッド。
小さい子供がいればふとん。
アレルギー体質の家族がいればベッド。
住環境の事情によりスペースの確保が重要ならふとん。
同じく住環境の事情でふとんを仕舞うところがないならベッド。
などなど。
それで今、現実問題として我が家には何がいいかというのが急浮上しています。なにしろ、ええ。断捨離の真っ最中で、この際変えられるものは変えていこうと思っていますし、捨てるにせよ取っておくにせよ、次のことを見越した判断を迫られています。
そもそも我が家のふとん。
新婚の時にわたしの実家からどーんと贈られたものを直しながら使っています。昔懐かしい言い方になりますが、いわゆる「花嫁道具」のひとつでした。
たいして天日干しはせず、もっぱら象印のふとん乾燥機で干しています。
タイではずっとベッド生活でした。
そういえばタイでは、日本からふとんを持ってきて生活しているおうちがありました。当時はタイの賃貸アパートは家具付きというのがほとんどで、ふとんを持ってくる人はかなり少数派だったと思います。私が記憶している限りでも数えるほどでしたが、でもいました。
我が家のアヤさん(『駐妻記』参照)のカノムさんは、日本のおふとんを生まれて初めて上げ下ろししたり干したりすることになったときは、最初ものすごい抵抗感があったそうです。「わたしそんなことやったことないのに!腰が痛くてどうにかなりそう!もうこんな仕事嫌!」みたいな気持ちだったそうですが、そこの奥さんがいい人だったのでそのうち慣れたそうです。さすがです。タイも上流家庭は大抵ベッド、庶民の家ではどうしていたのか、ベッド的なところに敷き物のようなものだと確かカノムさんは言っていたと思います。見たことはありません。とにかく日本のふとんは重くてどっしりしていてタイのものとは全然違うものだということでした。
帰国してから引っ越しを重ね、今の家では「畳ベッド」の上にふとんを敷いています。ベッドの良さもありつつ、ふとんの良さを享受している感じです。ただ、マンションで和室が無いのでふとんを仕舞うスペースが無く、畳ベッドでふとんを畳んで寄せておくと、ちょっと「独房」感が出ます。
我が家がなんで「ふとん」派なのか。
引っ越しが多いので、ベッドよりふとん、という感覚でした。寝袋感覚(にしちゃ嵩張りますが)で持ち運びができる点が気に入っていました。それと「動物に包まれるより植物に包まれたい」という気持ちもどこかにはあり、長い間「綿」を選んできました。
ものによると思いますが、羽毛はちょっと独特のにおいがしたりしますね。私は鼻がきくほうで、動物のにおいには相性があるのです(なんのこっちゃ)。それだったらポリエステルのほうがいいのかなと、ちょっと「におい」基準で選んできた側面も。
それで、先日二度目の「ふとんお直し」を実施したのですが、さすがに綿が限界を迎えつつあるのか、最初はふっくらしていたものの、すぐにへたってきました。結構な金額を出してお直ししたのにその結果で、だいぶ落胆しています。しかもお直ししたふとん屋さんでは、ふとんの職人さんが激減していて、質のいい綿も不足しており、次のお直しは難しいかもしれない(ふとんの限界的にも、職人さんと綿の不足の点でも)ということでした。
てことは、次、何買うのが正解?
再びふとん?それともマットレスにするべき?
マットレスにするなら、掛ふとんはなにがベスト?
知りたい――
でも知りたいことにはネットでは全然、たどり着かない――
だってそれはもう、好みの問題だから。そして好みって言われながらも、結局は「綿が無い」「職人がいない」とだんだん選択肢が狭まってきているから――
ふとんがいいいのに、ふとんはダメってことじゃん~(´;ω;`)ウッ…
で、ふと、世の中の人はみんな、何に寝ているのかなあ?と思ったわけです。みんなベッドなのでしょうか?私と同じように「ふとんがいいのに、もうふとんとお別れしなくちゃいけないのかな」と思い悩んでいる方はいないのか??
しかも、先日、実家から息子が小さい時に使ったふとんが回収されてきて、そちらの処分問題も同時浮上しています。
ふとんって、どうやって処分するのがベスト?
大抵は粗大ごみのようですが、今は寄付の形で再利用をする会社があったりもするようです。
そのうえ、ふとんのほかに「マクラ問題」というのもあります。
落語の導入部の話ではなく、芸能界のあちらの話でもなく、マクラもこれが大問題。
今の枕はタイで使っていた洋モノで、ポリエステル綿のものですが、かなりへたってきています。
枕も高級なものは何十万もするそうですし、こだわりがある人は「枕屋さん」で選ぶ人もいるとか。
寝るための道具のことを考えているうちに眠れなくなりそうです。
みなさんは、ふとん派?ベッド派?
そして睡眠環境に満足してますか~?
こちら、気にする人と気にしない人、お金をかける人とかけない人にも別れますね。
大谷翔平選手はとにかく人生の中でなによりも睡眠重視で、睡眠時間は何を削ってでも確保するとか。当然、睡眠環境にも並々ならぬ関心がおありだそうです。
断捨離しながら、そして文芸部のお題が「布団から」だったことから、急に我が家のふとん問題に頭を悩ませているワタクシでございます。