Movie16 ジークジオン!と言いたくなる/『機動戦士Gundam GQuuuuuuX ―Beginningー』
劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX ―Beginningー』。
相互フォローしてくださっているかたのうち、ほとんどのかたには、おそらくほぼ馴染みのない言葉だと思うので補足します。「ガンダム ジークアクス」と読みます。
『機動戦士ガンダム』シリーズの「宇宙世紀」ものの最新映画で、本来ドラマで放映されるものの、第三話までを先行上映する、というものです。今月17日から封切られました。
その日。
息子が学校からずいぶん興奮して帰ってきました。
『GQuuuuuuX 』観てきた!すっげーすっげー面白かった!話したいけど話せる人がいないから走って帰ってきた!
小学生か、とツッコもうと思いましたが、久しぶりにこんなに楽しそうな顔を見たので、母としては嬉しい。ずっと楽しみにしていた映画だから、無理もありません。初日に観に行ったらしいです。
そこからの葛藤が長い。
シャアが!シャアがあぁ!ネタバレしたい。でもネタバレだめぜったい。ゔあああーーーーでも話したい!
なんかひとりで悩み苦しんでいました。
あのね。私は確かにガンダム好きだよ。でもどんな作品であれ別にネタバレされたってどうってことないのよ。『シックスセンス』だってある程度話題になってから観てちゃんと驚くことができたわけ。人生経験豊富なものでね。何にも知らないまっさらな状態っていうのがまあ、もう、ほとんどないわけよ。汚れっちまった悲しみを背負い投げしてるわけ。だから全然平気だから。どうだったの?
そこから二時間、息子はしゃべり続けました。
ここ何年かで、こんなに熱心に語ったことがあるかってくらい、語りました。もう弁当作るくらいしか関われることがないなと思っていたところだったので、神さまありがとう。語る息子に会わせてくれて。
息子は高校生で、中学時代にガンダムに出会い、ハマったくちです。周囲の友達がKpopアイドルだのキメツだので盛り上がる中、息子だけガンダムとエヴァとジョジョにハマってました。友達がいないわけではありませんが、漫画とアニメに関しては同世代の他の子とちょっと違う感覚があるようで、それらの話をする友達を探そうとすると、どう考えても三十代以上六十代未満の中年世代しかいません。祖父母世代になるとこれまた全く話になりません。夫と話があうのはスターウォーズくらいなのですが、ちょっと深掘りしたオタクな話というのが夫はできません。映画としては楽しめるけど、小ネタとかわりとどうでもいいタイプ。
私はガンダムは息子と一緒に観はじめたニワカですが、宇宙世紀だけは(V以外)ほとんど観ました。ファーストガンダムをどっぷり観ていたころは「#ジークジオン!」と「#コロニー落し」が我が家の(というか私と息子の)トレンドだったことがあります。
それにしても高校生の息子が、母しか語る相手がいないなんて、何たることかというしかありません。同級生にはガンダム好きはいないそうです。息子にとっても、若い世代を引き込もうとしている製作者側にも、気の毒な話です。
最初、この映画についてちらりと目にした段階では、庵野秀明さんが監督をするのだと思い、シン・ゴジラ、シン・ウルトラマン、シン・仮面ライダーときてシン・ガンダムなのかと思いきや、今回は『新世紀エヴァンゲリオン』の副監督だった鶴巻和哉さんが監督と言うことで、なんとなく胸を撫でおろした感がありました。ガンダムがエヴァになるとか、富野さん的に許さないのでは?などと思ってました。
そのうち予告編が解禁され、息子の情報によると「キャラクターデザインはポケモンの人」だと言うので、さらに驚きました。ええっと、ガンダムとエヴァとポケモンが合体?サンライズとスタジオカラーとOLM合作みたいなの??
しかも宇宙世紀の一年戦争でジオン軍が勝ったパラレルワールド話だということで、キャラクターの髪の色から、主人公がハマーンなのでは、といった話も聞こえてきたり。
アニメを見ている頃、私と息子はだんだん連邦が嫌いになっていったので、ジオンが勝った世界がどうなったかには非常に興味をかき立てられました。
とはいえ、情報量が多すぎてパンクしそうでした。
で。息子、二時間ネタバレと考察をしまくった後、やっぱり観に行くべし、ということになりました。観なければ話にならん、と。
いや。話したけど? 今。
二時間も。
――二日後、息子と劇場に足を運びました。
息子、リピート鑑賞です。
映画そのものに関しては、賛否両論別れているようです。
庵野さんは脚本に連名になっていました。
私は息子ほどエヴァが好きではないので、やはりエヴァ味が強いメカニックデザインは「激推し!」とまではいかない感じです。でもそこそこ楽しめました。庵野さんの夢とロマンが詰め込まれた前半部もいいですが、むしろ後半の『水星の魔女』のような新鮮なガンダムも好もしい、と思いました。
自分自身はネタバレを気にしないタイプですし、これまでも感想を書くときはいつもネタバレしてきましたが、今回はあえて、ネタバレしません。
なんで、って、明かすネタが多すぎるから。
とても書ききれません。
ですので、気になったことのポイント3つに絞りました。
①シャアロンダリング
シャアが美しく、綺麗にクリーンアップされています。
瑕疵も齟齬もない、威厳に満ちたシャア・アズナブル。
クワトロにも逆シャアにもならない世界線。
声優さんがとても似合っていました。
②匂いを嗅ぐ
庵野さんの映画には、よく「匂いを嗅ぐ」シーンが登場するので、気になっています。
特に、男性が若い女性の匂いを嗅ぐシーンは『シン・ウルトラマン』でも出てきましたし、今回のこの映画のメインキャラクターのひとりでシュウジくんという男の子が、初めて他のメインキャラの女子と出会った時に匂いを嗅いでます。
ウルトラマンでは斎藤工が警察犬のように長澤まさみの匂いを嗅いで「人間を特定する材料」にしていました。斎藤工が匂いをかぐとかやたらエロティックになってましたが。これはウルトラマンが「人間ではない」ことの証明のようなものでした。ということはなに。シュウジは人間じゃないの?
③音楽がオシャレ
コンテンポラリーでポップでオルタナティブな(って自分でも何言ってるかわかりませんが)オシャレ感満載。
米津玄師の「Plasma」も納得。
でも『アンダーニンジャ』予告編で聞いたCreepy Nutsの 「doppelgänger」がヤバすぎて帰宅してからもアンダーニンジャの予告編みてるオレ。
以上です。
※ガンダムや庵野監督について書いたことのある記事※