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Fan letter 3 UA☆レインボー

 「UA」さんとの出会いは、例に漏れず「情熱」の大ヒットだったから、1996年。

 毎週、深夜帯枠で放送されているCDTVという音楽情報番組があります。曜日や放送枠、集計方法を変えながら、いまでも続いている長寿番組のようですが、UAさんと出会ったのは私が最もCDTVを視聴していた時代でした。

「情熱」のインパクトはすごいものがありました。
 なによりもその歌声に強烈に魅了されました。

「UA」という名前が、スワヒリ語で「花」という意味と「殺す」という意味のあるダブルミーニングだと知った時は、なんだか壮絶で素敵だと思いました。

 そしてまたそのお姿が、長年心ひそかに引き寄せられてきたメキシコの画家「フリーダ・カーロ」をどことなく彷彿とさせ、ひと目でノックダウン。

「情熱」が収録されたアルバム『11』は私の好むコンセプトアルバムで、アルバムジャケットを撮影した時には既に第一子を妊娠中だったという話も、たまらない吸引力がありました。

 そう!その時のお子様が、村上虹郎さんです。『カムカムエブリバディ』で若き日の「勇ちゃん」を演じた俳優さんです。

 うわっ(UAだけに)!
 もうこんなに大きくなったのね!

 当時一世を風靡していた俳優の村上淳さんと結婚後、その後離婚・再婚され、自宅兼スタジオ全焼という不運に見舞われながら、沖縄に移住。第二子の時は妊婦姿のセミヌードを披露されましたが、比較的最近、第四子をご出産になり、現在50歳。今はご家族でカナダ在住のUAさん。

 UAさんはデビューの最初期こそコンスタントにアルバムを出されていましたが、ある時から「UA」単体としての活動よりも、誰かとコラボしたり、BLANKY JET CITYを解散した浅井健一さんとAJICOを結成したりと、様々な活動をすることが増え、より自分の音楽性を追求しながらも、ひとりの人間としての人生を大切にして自然体で取り組める、総合的な音楽活動へと移って行ったように思います。

 そのためわかりやすくアルバム単位で活動を区切ることができないし、露出も少なくなっていったので、注意していないと「うあ!いつのまに」ということになるわけです。笑

 2017年頃から朝日新聞デジタル「&w」で野村友里さんとの往復書簡「暮らしの音」の連載を開始されました。最近のUAさんのことを知るようになったのもこちらからです。

 野村友里さんのことは、私はよく存じ上げませんでしたが、有名な一族の方なんですね。レストランを経営している料理人という肩書だけではなく、ご家族みなさん有名な方で、映画に関わったり、マルチに活躍されているご様子です。

 こちらの往復書簡も読みごたえがあって面白く、ついつい、読んでしまいます。

 ところでUAさんは思春期に戸川純さんを聴かれていたとか。
 BLANKY JET CITYを解散した浅井健一さんとバンドを組むとか、林檎さんに共通する流れもあり、ここに私が好きな「系統」というのが如実に表れているのかもしれません。

 UAさんには当初、相当はまっていたので、アルバムもリアルタイムに購入して聴いたり、誰とコラボしたと聞けば単体の曲を購入したり、私にしては相当珍しくコンサートライブに行ったりしたこともあるくらいでしたが、自分の人生の方も何かと忙しくなってきたことと、活動が見えづらくなり後を追いかけることが難しくなったこともあって、しばらく離れていました。

 でも時折聞こえてくる「おうちが火事」とか「虹郎さんが俳優に」とかそういうチラホラとした話題には、自然にアンテナが立って、ちょっとずつキャッチしていたように思います。

 つい先日50歳の誕生日を迎えられたUAさんは、ますます素敵に美しくなって、人間として女性として輝いていらっしゃいます。

 さて楽曲ですが、なにしろUAさんの歌声が好きなので、どのアルバム、どの曲と選ぶことができません。
 基本的にコンセプトアルバムが好きということもあるし、なにより私は、アーティストの「世界」を楽しむのが好きです。

 アルバム『11』はやはりその物語性がたまらなく、歌詞の表現も凝った感じで、曲それぞれに「テーマの色」があり、アルバム全体が「虹」のよう。

 ご長男のお名前が「虹郎」さんということを知ったときは、ああなるほど、と思いましたし、実際、上記の往復書簡的エッセイにも、ご本人が幼いころから「虹」に心惹かれているという記事がありました。

 アルバム『turbo』の中の「プライベート・サーファー」の曲に関するUAさんの当時のインタビューをいまでも覚えていて、「(人生に)大きな波がやってきたときに、逃げるのではなく立ち向かっていく人でありたい」とおっしゃっていたのが印象的でした。

 アグレッシブに挑むのではなく、「波に乗る」ために立ち向かう。
 すごく柔軟な感じ―――受け入れながらも勇気をもつ、という感じが、いいなぁと思ったのが忘れられません。

 Eテレの「うたううあ」も好きだったし、コラボでは『KABA』(カバーアルバム)の中で、甲本ヒロトさんとのデュエット曲「夜空の誓い」も印象深いです。なんだろう、あれは不思議なコラボレーションでした。声の妙。

 2022年3月に、6年ぶりの新曲を配信されたUAさん。
 オルタナティブロックバンドGEZAN(下山げざんマヒトゥ・ザ・ピーポーさんから、2020年のUAの活動25周年を祝いプレゼントされた楽曲だそうです。

 私は『GEZAN』もマヒトゥ・ザ・ピーポーさんも存じ上げなかったのですが、ググってみたらこれがまあ、とても心惹かれる楽曲と人物…
 新たな出会いに感謝です。

 さて。
「微熱」は、タイトルからして「情熱」に似てる…
 曲の感じは、どことなく私の好きな「甘い運命」にも似ています。
 最後の最後に、UAさんがつぶやくように「きっと涙は」と歌う箇所があり、それに痺れました。
「きっと涙は」は、「情熱」の出だし。
「微熱」は「情熱」の「未来」なのかもしれないし、「過去」なのかもしれません。
 感覚的に一番近いのは「問答歌アンサーソング」。
 どちらにも「別れのKiss口づけ」が出てきます。

 終わってるのはわかっている恋。
 でも気持ちはそう簡単について行かないのよ…
 全体的に、切ないのにどこかドライな戯れ感。
 そう、太古の昔から。

あかねさす 紫野ゆき 標野しめのゆき
野守のもりは見ずや 君が袖ふる

~額田王 『万葉集』より。…たぶんこっちは「微熱」

紫の にほへるいもを 憎くあらば
人妻ゆへに あれ恋ひめやも

~大海人皇子 『万葉集』より。…こっちはきっと「情熱」

 5月25日には、「微熱」を含む新作EP『Are U Romantic?』がリリースされることも決定しているとか。前作アルバム『JaPo』以来6年ぶりのEPリリース。全6曲が収録予定だそうです!

※レコチョクのページだと、全曲試聴ができるんですね!

 久しぶりにドップリ、それぞれのアルバムを聴きたくなってきました。





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