KinKi Kidsの愛はAmazing 前編
「なにわだん…間違えた、KinKi Kidsです」
イベントの最初に堂本光一さんが言ったとき、あっ、と思った。
そういえばKinKi Kidsは昔「KANZAI BOYA」(カンサイボーヤ)だった。
「なにわ男子」って、ネーミングセンスがそのまんまおんなじだ~
会場において新参者である私は「はぁなるほど」と思った。
どちらの名前をつけたのも、故・ジャニーさん。
25周年のイベントを始めるにあたって「なんでこれ系の名前をつけたくなるのかわからないけど、それがジャニーさんなんだよね。ジャニーさんにまずは感謝を」が込められている最初のフリなのだろう。
そのうえ、軽めのツカミなのに、売り出し中の若手の後輩を引き合いに出し、若手の後押しまでするという25年の貫禄が感じられる。
ファンの皆さんは、そんな光一さんをやさしく見つめていた。
2022年8月7日、東京ドーム。
KinKi Kidsの25周年イベントの会場に、私はいた。
会場は満席。観客動員数5万人超。
With CORONAの時代に突入したのが肌で感じられた。
私の人生「初ジャニーズ」のライブイベントだ。
ジャニーズとは無縁そうな私が、どうしてまた、ここにいるのか。
空ちゃんである。
空ちゃんがKinKi Kidsの大ファンだということは、「鎌ほの」「のん鎌」を通じて少しお話したことがあったかと思う。
空ちゃんは、年季の入った沼に住むガチファンだ。その沼は、KinKi Kidsへの愛で澄み渡っている。年季が入れば入るほど、キラキラ輝く沼なのだ。
なんていうと、空ちゃんは「いやいや、もっと上には上がいるからね。強火・中火・下火で言ったら、私なんてまだまだ中火の下」と謙遜する。
その空ちゃんが、「みらっち、実は一緒に行こうと思った子が行けなくなってチケットが余りそうなんだけど…KinKi Kidsのイベント行ってみる?」と誘ってくれたのだ。
空ちゃんとの付き合いは長い。
かれこれ20年近くになる。
その間、楽しかったライブコンサートの話、KinKi Kidsの二人の仲の良さの話、数々のライブに遠征した時の話、ファン仲間の友達の話など、KinKi Kidsの話をたくさん聞いた。
でも、誘ってくれたのは初めてだった。
そもそも、ジャニーズのチケットなんてまず、ファンクラブにも入っていない一般人に、とれるはずがない。
これを逃したら、私は生涯、ジャニーズのコンサートをこの目で見ることはかなわないだろう、と思った。
そして、話に聞いているKinKi Kidsのライブを、一度でいいから観てみたいと思ってしまった。
行く、と返答した。
空ちゃんは逆に驚いたようだ。
チケットをなんとかする方法はほかにもある。ただ、いろいろと手間暇がかかる。ダメ元で誘ってみた私が「行く」というとは、もしかしたら思っていなかったかもしれない。
それくらい、今までの私は空ちゃんの前で「ジャニーズにもKinKi Kidsにも興味なさそー」だった。
断じて嫌いではない。
ただ、すごく好きになったことはない。
これに関しては、私は何に対してもそうなので、空ちゃんもわかってくれていると思う。
でも実は、「ジャニーズのコンサート」には、前々からすごく興味があった。
あれだけ人々を虜にするものが何かあるはずで、それが知りたくてたまらない。
ただ、行くと返事をしたものの、空ちゃんの「聖域」に踏み込むことに、私は躊躇し、遠慮し、緊張しまくっていた。
コアなファンの「聖域」には、うかつに近づいてはいけない、という鉄則がある。あ、私の経験上は、ということだが。
おまけに当日が近づくほどに第七波は勢いを増し、そっちのほうでも緊張があった。
しかし、行く、と決めた。
特に決め手になったのは、空ちゃんが常日頃、
「KinKi Kidsのファンは年齢層が高めなのもあるけど、ルールを守るちゃんとしている人が多い。KinKi Kidsが感染症対策に厳しいくらい気を遣う二人だということもあるけど、それ以上にファンが彼らを困らせることを望んでいないから、普通以上に気を使って対策している。最初から最後まで無言で座ってる。拍手とペンライトで応援するだけ。誰も騒ぐ人はいない」
と言っていたのを、聞いていたからだ。
考えてみたら、私は20年来空ちゃんとつきあってきて、空ちゃんを通しての「KinKi Kidsの話を聞いた」経験値はそこそこ高いのだ。
門前の小僧習わぬ経を読むというやつだ。
KinKi Kidsを街中で、テレビで、ネットで目にすれば「あ、空ちゃんの好きなKinKi Kidsだ」と注目し、決して無縁なアイドルではない(はずだ)。
当日、空ちゃんと待ち合わせた駅のホームで会ったとき、おっ、と思った。
空ちゃんの雰囲気が違う。
身にまとう空気が違うのだ。
KinKi Kidsモード、というのだろうか。
これまで私に見せていなかった顔だ。
めっちゃドキドキした。
何もかも初めての私は、空ちゃんについていくしかない。
せめてもお邪魔をしないようにしなければ、と思いつつ、ついつい、様々な質問が飛び出す。
「みらっち、完全に書く気満々でしょ。取材してるでしょ」
バレてる。
KinKi Kidsの初心者というよりまずライブの初心者丸出しの質問ばかりしたが、空ちゃんは、「行けばわかるよ」なんて言わないで、ちゃんと質問に答えてくれた。
逆に「どのくらい、KinKi Kidsの歌を知ってる?」と聞かれたので、「硝子の少年…」と、言ってはいけない答えかと思いつつ恐る恐る答えた。
「硝子の少年」は彼らのデビュー曲で、ミリオン超えの大ヒット曲だ。
「あ、あと、堂本兄弟は観てた」
そういえばそうだった。「LOVE LOVEあいしてる」は観ていたか観ていないかちょっと自信がなかったが「堂本兄弟」は毎回楽しみにみていた。
うん、それなら大丈夫。
空ちゃんのお墨付きをもらって、私たちはまず、関西方面から観に来ている空ちゃんの友達の泊っているホテルに向かった。
お名前を、仮に愛さんと呼ぶ。
合流して、何人かのファン仲間のお友達と会うのは聞いていた。
行ってから座席が決まるため、同じ場所にはならないから会場で別れるという。
愛さんは部屋に入れてくれて、トイレを貸してくれた。
会場の人数が人数なので、トイレに1時間並ぶことも当たり前らしく、トイレは深刻な問題なのだという。
初めて会う、そして初めてジャニーズのコンサートに来たという私に、愛さんは優しく言った。
「初めてのジャニーズならKinki Kidsでよかったと思いますよ~。KinKi Kidsのファンは皆さん静かだし、この会場なら、座って観れますよ」
そして、「ぜひ楽しんでくださいね!」と言ってくれた。
うわ、なんて優しいんだろう。と思った。
新参者の、ジャニーズ好きとは言えない人にまで、優しい。
しかも飴ちゃんまでくれた。
いつ準備したのか、かわいらしい袋に入っている。
さすが、空ちゃんのお友達。
さすが、KinKi Kidsファン。
私の中で、KinKi Kidsのファンといえばこれまで空ちゃんしか知らなかったが、初めて会った空ちゃん以外のKinKi Kidsファンがこれほどに優しいことに、私はすでに半分くらいノックアウトされていた。
つづく。
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