シュフメシ
お昼時。
主婦のお昼ご飯を検索すると、たいてい「朝の残り」「お弁当のおかず」「残りご飯と納豆か卵」「残りご飯をチャーハン」、または「レトルトカレー」「カップラーメン」「袋麺」「和えるパスタ」「冷凍パスタかグラタン」などが出てくる。食べない、ということもある。とにかく「残」という言葉がついてまわる。「残」念なほどに。
しかして私の実態もそんなものである。
時々、買い物のついでに済ませたり、サンドイッチやマックを買ってきたり。おにぎりのお店が近所にあった時はおにぎりもよく調達した。
誰かとランチにいくこともあるが、まあ滅多に無い。時期的に毎週食べに行くなど重なることもあるけれど、とにかく主婦のひとりご飯は「簡単・安い・早い」という牛丼屋のキャッチコピーの様なものである(某牛丼屋のキャッチコピーは「うまい・安い・早い」)。
私の住んでいる街の駅には駅ビルというものがなく、駅の周辺に小規模なショッピングセンター的ビルがある。
南に向かって隣の駅には立派な駅ビルがあり、北には駅直結の大型ショッピングセンターがあるのだが、肝心の「じぶんちの駅」には、ほぼ、何もないに等しい。
いや、もちろん、あるにはある。しかし長く住んでいると、もう何回も行きつくしたお店であることが多く、しかもなんちゅーか、家族向けの店が多い為、ひとりで小腹を満たすための要件を満たしていないことが多い。
結局消去法で、いつも蕎麦屋。
もう、好みとかそういう問題ではない。
俗に「サラメシ(サラリーマンのご飯)」というが、時に「シュフメシ」というのも問題だ。毎日ではないにせよ、日常の「ケ」の部分なので、高いのは困る。そしてサクッと済ませたい。買い物に出てしまえば、帰宅してまた食事の支度をして、というのは、非常に生活の効率を阻害する。できれば手軽にちょこっと小腹を満たしたい。
そんなとき、思うのである。
ああ、近所に小洒落たカフェが欲しいなあ、と。
理想はこんなカフェだ。
小さなカフェだがそこそこ賑わっている。メニューは少なくてもいいし、量もそんなに無くていいから、値段おてごろ。ちょっと健康志向だったりして、くつろげる。普段家で作るには面倒だけれどそこまで手が込んでいるわけでもない、みたいなコースがあったり。飲み物付きだと嬉しい。コーヒーが美味しければコーヒー別料金でもいい。インテリアがちょっとおしゃれでオーナーの好みがわかるようなものだったりするとなおいいし、小さな本箱に本がおいてあったりするとなおよい。
妄想は広がるばかり。
ちなみに、そんな素敵なカフェがないので、私はよく、隣の駅にある「スープストック」に行く。株式会社スープストックトーキョーさんのスープスタンド。
電車賃をかけても行く。無理やり、隣の駅に用事を作って行く。午前中に風呂の掃除などした日には、なんかもう、行ってやる、という気になる。
昔は「サラメシ」としてもよく利用していたものだが。
このお店のよいところは、まず手軽であること。
スープかカレーのセットがあって、ご飯かパンを選べて、盛り付けも選べるけれど、お昼の時間のない時にさっと食べられる。
値段はそれほど安くはない。スープだけと考えると高いかもしれないが、家で作れないものばかりなので、そこはやむを得ない。
味もまあまあ美味しい。季節ごとにいろいろなスープが提供されるのもよい。席数は多くはなく、カウンター席だけの店も多いけれど、回転が速いのでいつも賑わっている。私はあんまり寛いだことはないが、寛いでいる人もいる。お店の雰囲気も、シンプルでお洒落。なんというか、ニーズをがっちりつかんで(つかまれて)いる気がする。
惜しむらくは、近所ではないことだ。
電車代を払ったら割高なことだ。
ショッピングセンターの蕎麦屋の方が安いことだ。
今日も私は、カップラーメンを食べるか買い物のついでに何か食べてくるか悩んでいる。朝、お弁当の残りは食べつくしてしまった。
小洒落たカフェがあったらなあ、マンションの隣に。
でもあったらあったで、毎日は行けないし、近すぎれば近すぎるほど、ご近所さんと会ったりして、行けなくなるんだろう。あっでもお惣菜だけでも売ってくれるといいなあ。サンドイッチとか、おにぎりとか。
もう少し、朝の仕事がある。
そして毎日、昼が来る。