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「観る力を鍛える」リーダーシップの新次元


リーダーシップにおいて非常に重要なことは、目に見える情報を捉える「見る」力だけでなく、目に見えない要素を感じ取る「観る」力です。
この観る力によって、チームの雰囲気、メンバーの感情、そして未来の可能性を読み解くことができるようになります。

これは、氷山のモデルで考えることができ、水面上に出ている部分だけを見るのではなく、水面下に広がる大きな部分を観る、理解しようとすることにたとえられます。

1. 「見る」と「観る」の基本的な違い

私たちが日常的に行っている「見る」という行為は、目を通して物理的な対象や情報を認識することです。これに対して「観る」という行為は、より深く、抽象的なレベルでの理解を含みます。ただ外見を認識するだけでなく、その背後にある意味や文脈、そしてその影響を考慮に入れます。

リーダーは、物事を表面的に見るのではなく、その本質を深く観察し、見える部分見えない部分の全体の状況を評価する必要があります。

大観(広い視点からの観察)

大観とは、物事を高い視点から俯瞰する観察方法です。いわゆる「大所高所にたって物事を観よ」とか、「木を見て森を観ずではだめだ」といわれることと同じです。
このように視点を変えることで。目先のことや、個々の詳細に囚われることなく、広くものごとを観ることで、全体の構造やパターンを捉えることができます。

リーダーにとってこの視点は、チームや組織全体の動きを把握し、より大きな戦略的決定や意思決定をするときに不可欠です。

仰観(異なる視点からの観察)

仰観とは、自分よりも大きなもの、または高い位置にあるものを下から見上げることで、新たな視点を得ることができます。
これは、自己の立場や立ち位置を低くして、他者や下の立場のから上司の視点や考えを理解しようとする姿勢を示します。

リーダーがこの観察方法を使うことで、自分が他者や部下からどう見られているか、自身の思考や判断が偏っていないかを客観的に見ることができます。部下や他者の意見を取り入れたり、バランスの取れたアプローチをすることができ、共感力でチームをまとめるときに効果を発揮します。

2. リーダーに必要な「観る」力

「観る」力は、直接目には見えないけれど、チームや組織の成果に直接影響を与える要素に気づくことができます
例えばチームの雰囲気やメンバーのモチベーション、さらにはこれから起きそうな未来のリスクやチャンスをいち早く察知する力だと思います。

リーダーが意識しながら「観る」ということができれば、チームや組織の雰囲気が変わり、より柔軟で効果的に動くようになりることが期待できます。

感情の観察

特にリーダーは組織内の感情の流れを理解することが重要なポイントをしめます。これは、チームの健康と生産性に直結します。
リーダーがメンバーの不安に思っていることや、要望や期待を理解し、それに対応したサポートを提供することができれば、チームの状態はよくなり、たとえ困難状態になったとしても強く対処できるようになります。

状況の先読み

「観る」力は、組織だけに効果を発揮するものではありません。市場の変化や技術の進展など、外部環境の変動を敏感に感じ取ることも「観る」力の一つです。
観る力は先見の明になり、予測困難な問題にも、事前に対策をすることができリスクを最小限に抑えることにつながります。

3. 自己反省と模範行動

「観る」は「観られる」ことと同じです。自分が観ているということは、部下や周囲から自分が観られていることを意識しなければなりません。
リーダー自身が自らの行動や決定について常に反省し、その結果として模範的な行動を示すことが求められます。
この自己反省は、自己の弱点を明らかにし、改善する過程であり、リーダーとしての誠実さと成長を示す手段です。自身の行動が模範となり、それが組織のメンバーに良い影響を与えることで、ともに成長しようとする組織文化も育まれます。

4. 周囲の観察と指導

効果的にリーダーシップを発揮するには、常に周囲を観察し、それに基づいて適切なフィードバックや指導が大切です。
部下の個々の能力や状況を理解し、それにあった適切な支援を提供することで、部下のポテンシャルを最大限に引き出すことが可能になります。
このプロセスは、リーダーと部下の信頼関係を深め、組織全体の能力向上に影響します。

5. 氷山モデルを用いたリーダーシップ

氷山モデルでリーダーシップを考えると、人間が見えている部分は全体のごく一部にしか過ぎないことがわかります。
リーダーとなる人は、このモデルを理解し、見えない部分にも意識を向けることが重要です。
これは、直接見ることができない組織やチームの感情や態度、潜在的な争いや衝突などが含まれます。
これらの要素を「観る」ことによって、リーダーは組織内の本当の課題を把握し、それに対処するための戦略を練ることができます。

リーダーシップは、目に見える事実だけでなく、それを超えた深い理解を実現することです。
目に見えないものを「観る」力を身につけることにより、リーダーは組織をより効果的に、かつ柔軟に導くことが可能となります。
これは単なるスキル以上のものであり、リーダーとしての資質を大きく高める要素となります。
これを実践することで、リーダーは自身だけでなく、組織全体を成長させることにつながります。

さて今日のテーマはいかがでしたか?
ご参考になれば幸いです。

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