【短編小説】それはあまねく唯一の
天窓から柔らかな光が差し込む某図書館。近年建てられたばかりのそこは、大空間の中に大きなランプシェードのような構造体が吊り下げられ、空間を緩やかに仕切っている。明るいシェードの下でソファに座った少年が本を広げている。
ページをめくっていた少年が、ふいと顔を上げた。一人分挟んで隣には、金色の髪の女が同じくソファに腰掛け外を眺めている。本のページと女を見比べ、少年が女に話しかける。
「ねえ」
「……ん?」
「どうしてこの人、手がないの」
少年は開いていた本のとあるページを