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泣けるほどかけがえのない時間 ~ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」

2016年の月9ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」、
FODで見ました。坂元裕二さんの脚本です。

この長いタイトル、すべて見終わって振り返れば、こんなにぴったりのタイトルは他にないと思えるほど、しっくり来ています。

最初の1,2話ぐらい、今まで見た坂元さんの作品の中で、一番まったりしてるかな、ちょっとスローテンポかな、といっとき思いましたが、
回を進めるごとに、この切ない世界観にハマってハマって、
きっとこの先何度も見返したくなるような、私にとって大事なドラマになりました。

振り返って思い出したときに、きっと泣いてしまうだろうと思えるほどに眩しく、かけがえのない時間、というものが人生の中にはある。
キラキラの時間のただ中にありながら、
この時間はもう二度と戻ってこないことを分かっていて、
そんなに大事なのに、手放さなければいけない切なさに泣くのだと思う。
時には、自ら手放す選択をする苦しさに、泣くのだと思う。

そういう感覚は、本当によく分かります。
子育ての中でも、子供たちがまだ幼くて、家族が密着して楽しく過ごせる時間は、
今しかない、と思う。子供たちは成長して巣立っていくから、それは喜ばしいことだけれど、
この家族として過ごせる濃密な時間は今だけの幸せ。
神様、もう少しだけ時間を止めて、このままでいさせて、と思うような、
幸せな宝物みたいな時間なんだ。
目の前のことを忙しくこなしている日常の中で、ふと引いてみたときに、その刹那の幸せをかみしめ、泣けてしまうような。
人生、必ずいつか死が訪れる。終わりがある。世代交代があり、かつての若者もいつかは老いていく。そんな人生の本質において、この切なさは、思えば思うほど苦しいけれど、眩しい。

ドラマのラストがまた素晴らしかったです。
たぶん、主題的には、眩しい思い出を胸に、それぞれが別々の道を行く、それが自然な終わり方かなと思うけれど、
でも、最後に素晴らしいセリフがあった。

『道があって、約束があって、ちょっとの運があれば、また会えます』

手放しのハッピーエンドではないけれど、でもこのセリフに救われた。
同じものは二度と帰ってこないけれど、でも、願っていれば、また巡ってくる。
きっとまた会える。そんな人生の希望を感じました。

幼いころに亡くなったお母さんの焼き場で見た空の美しさ。
ずっと言いたかったのに、今まで誰にも言えなかった。
伝わらないのが怖かったから。
このシーンも大好きです。

伝わらないかもしれない怖さを乗り越えても伝えたい、伝わるかもしれないと思える相手との出会いや、伝わった時の喜びは、人生においてスペシャル。
このnoteに書いている内容も、伝わらないかもしれないけれど、
伝わる人がもしかしたらいるかもしれない、そんな気持ちで書いています。

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