ドラマで勉強(ユースティティア)

「虎に翼」第5週「朝雨は女の腕まくり?」
本日は第24話。

今日も桂場先生(松ケン)は食えない奴でしたね。
とうとう視聴者の目を盗んで食べようとしていた(笑)
2周目の視聴でテレビに近づいて団子を確認出来ました。

団子などお菓子を食べる時って休憩や一息つきたい時だと思います。
桂場先生はずっと一息つけないんでしょうね。

直言(岡部たかし)含む16人が贈収賄の容疑で逮捕された「共亜事件」。
この事件がきっかけで内閣総辞職となる大事件に。

これまでは戦いが「女性と男性」だったのが「大人と女子供」になった気がします。

寅子はその負けん気で「女だから」に屈することなく、気持ちを飲み込まず、「はて?」と問い、意見を言い、家族や同級生を味方につけて一枚ずつ扉を開いていった。

途中、ゲスい新聞記者(高橋 努)が登場したり、「男はー!」と宣う輩が登場したり。
それでも穂高先生(小林薫)や父・直言、書生・優三(仲野大賀)の応援を受けて挫けることなく進んできた。

しかし、今回の事件では学生である寅子に出来ることは少ない。
穂高先生が弁護士となり、弁護士軍団と会うシーン。
人生をサバイブしてきた大人は面構えが違う。
めちゃくちゃ暑苦しい画面でした。

例えば山口百恵さんは21歳で引退しました。
山本リンダさんの「どうにもとまらない」も21歳の時。
中森明菜ちゃんの「DESIRE」も21歳の時。

今振り返ると皆さん大人っぽい。
昔は大人と女子供は明らかな線引きがあり、社会的には大人しか認められなかった。
女子供の「子供」は幼児・児童ではなく、学生や生計を立てていない人全てを指している。

若いことは決して良いことではなく、一人前と認められず舐められ、馬鹿にされる。
早く大人になりたかった人が多かったし、大人びていた。

その大人の壁に寅子はぶつかっているはず。
素直に「法律を学べば人の傘になれる」と思っていたのに、この事件は政治がらみ。
大学では学べない大きな社会の構造・裏側を知ることになる。

記者が言っていた「この国はどんどん傾いてくぜ」の言葉。
花岡君(岩田剛典)も含めて理解出来たのだろうか?
もっと「私には何も出来ない。私は何も分かっていなかった」とショックを受けて欲しかった。

裏どり調査、信用出来る人と協力したのは穂高先生の誘導。
刑事訴訟法・監獄法施行規則第49條も優三さんのノートのお陰。
ゲスだと思っていた記者からも忠告され、無視して突っ走り、結局暴漢からも助けられた。
最後は弁護士団にお任せすることに。

ここで思い出した。
寅子は「悔しがるのも泣くのも後」と切り替えていたんだ。
そして「私の出来ること」に奔走した。
全てが終わり「自分は無力だからもっと勉強するのだ」と気合が入るのでしょう。

はるさん(石田ゆり子)も「私に出来ることは?」と考えていた。
強い人たちだ。

寅子に「法律を学ぶのは時期尚早、今じゃない」と助言をした桂場先生が、貴族院議員の水沼淳三郎(森次晃嗣)に「君の正義感を発揮するのは今ではない」と言われてしまう。

水沼代議士からみたら桂場先生はただの若造。
いつも、何歳になっても自分の頭を踏みつけようとする奴がいるのだ。
その頭が賢く光っていると早めに摘み取ろうとする奴がいるのだ。

水沼代議士が桂場先生に向けた「正義感」というワード。
桂場先生が寅子に向けた言葉にも含まれたものだろう。

信念ある正義感の持ち主は踏まれたらより一層強く芽を出していくのだ。
その辺は桂場先生と寅子の共通点。

だから穂高先生は弁護士集団に寅子を連れていき、彼らの正義感に火をつけたのだろう。

腐った人たちには分からない成長法則なのだ。

記者も三流ゴシップ専門だと思っていたけど、社会派だったのね。
彼も法律家を目指したり、何かしらの正義があった人で、一度は腐ったのかもしれない。
まだ燃えカスは残っていて、寅子と「共亜事件」で再び目覚めるのだろうか?

裁判のシーンで衝撃だったのは検察が裁判官と同列だったこと。
そりゃ、あの態度に出ますね。

しかし、権力・地位があると何故にあのように人を攻撃したがるのか。
あのように人を痛めつけようとするのか。
それが人間の本性なのか。

もう一つ「人権蹂躙」というパワーワード。
罪なき人を拷問し、尊厳を奪い、心を体も未来も奪うことを表現する「じゅうりん」という音(おん)。
聞くだけでムカつく響きだ。

それにしても直言が怯える革手錠。
ググってみたら相当な代物でした。
ドラマではマイルドになっています。

腰ベルトがキツく、呼吸も困難。
両手も動かせず、排泄はそのまま垂れ流し。
首周りにも発疹があったので不衛生で、気が触れてもおかしくない状況だったと推察されます。
革手錠は外した後も暫く腕は動かせないらしい。

着物姿で家族へ土下座した時、動かした足が不自然で、足も怪我はしていないだろうか?

ベルトと手錠をくっつけただけの簡易な道具で最高の苦痛を与える。
医師など人体を知っている人が作ったのでは?と考えてしまう。
このような苦痛を与える為だけの道具を人間が作る。
やはり人間は一番残酷だ。

寅子の為に立ち上がった直言。
リバウンドがないよう、心の傷が少しでも癒えることを祈るばかり。

そういえば、判決を待つ人たちの中に、かつての同級生。
授業中に白目を剥いて寝ていた女性がいましたね。
この先も寅子と絡んでくるのだろうか。


オープニングのバックの皆様のポーズ。

最高裁判所にあるブロンズ像。
左右の手が逆ですが、このポーズでは?とXに流れていました。

ローマ神話の「正義の女神」ユースティティア
またはギリシャ神話の「掟の女神」でゼウスの2番目の妻・テミア。(その次が正妻ヘラ)。
またはテミアの子で「正義の女神」ディケー
ディケーの別名、あるいは星空の神・アストライオスと暁の女神・エーオースの娘アストライヤーとも言われています。
この4柱は同一視されています。

ようするに「正義」を擬人化したものです。

司法・法曹界では一般的な像。
白黒真っ二つに決断をする剣、双方を計る天秤がシンボル。
そして「澄んだ心の目」を使う為、目隠ししている場合が多いです。

寅子のポーズは天秤ですね。

トート・タロットでは「#Ⅷ・Adjustment(調整)」

こちらはエジプトの「正義の女神」マアト。
宇宙創世時、「秩序ある世」になるよう見守っていたと言われています。

アイマスクをし、頭の上から天秤がぶら下がっています。
頭の上=頭で考えない=天の捌き。
剣は股に挟んで大地に突き刺し、マアト自身が天秤の支柱になっています。

天秤には「α」と「Ω」、最初から最後まで。
全てを見渡しているぞ、丸っとお見通しだ!、という意味です。

どの神話でも正義は女神なんですね。

ノアの方舟と似たような話がギリシャ神話にもあり。
人間の乱暴や暴力沙汰に怒ったゼウスは他の神と一緒に天界に行き、最後まで人間を説得したのがユースティティア(テミス)とも言われています。

しかし説得虚しく、ユースティティアが天界に去った後には地上は血の海になったとか。


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