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続 貴族と、強迫性障害

娘、たえこ
ビリーアイリッシュみたいに髪を染めたいらしいけど、今は黒髪。
長い髪を結んで学校に行く。

しかし、大雑把なので
大抵、サイドの髪が緩く垂れ下がって、
そこはかとなく和風なスタイルに。
無造作と言えば通りはいいけれど。

計算した後れ毛とか、いわゆる触覚でもないのだもの。
まるで、夕鶴のおつう(私のイメージで)、
または疲れたおばさんみたいではないか。
私はとても気になっている。
娘はそれをあまり気にしていない。

今朝は、
よく見ると眉毛がうっすら光っている。
メイク?
しかも金色。
聞いてみると、
昨日、家に来ていた友達と、
絵の具を塗って遊んだようだ。
まだ手入れしていない眉が、妙にペタッと整っていて、
眉マスカラかとも思った。
夕鶴の次は、平安貴族に。
まず、顔洗おうよ!

生来の眉をすべて抜いて白粉を塗った上に、眉墨で自分の眉の少し上くらいの位置に別の眉を描く眉化粧をするようになったのです。『源氏物語』の中にも、「歯黒めも、まだしかりけるを、ひきつくろはせ給へれば、眉のけざやかになりたるも、美しう清らなり」(お歯黒はまだだが、眉を抜いて眉墨を引いたので、ぱっちりとなったのが美しい)と記述されています。宮廷の女性は、貴族の化粧としてこのような眉化粧を行うようになったのです。何故、全く別のところに眉を描く化粧が生まれたのか、はっきりとしたことは分かっていませんが、一説には眉は感情が強く表れるところ。額に描いた眉なら、感情につれて動くようなことがないので穏やかで高貴な雰囲気になるという美意識があったようです。

ポーラ文化研究所より
眉毛を全て抜くんですよね…いたたた

面白い、雑だよね、みおさんに似て

お父さんが細かいから、似ないで良かったじゃない

ある友人は、笑って言っていた。
もちろん、娘本人には聞こえないところで。

こんな物言いをするけれど、
私達母子に、
何度も手を差し伸べてくれた人だ。
元夫のことも、案じてくれた。

彼女は、娘の、10年来の幼馴染の母で、
元夫がOCD、強迫性障害だと知っている。

強迫性障害を問題としているのではなく、
元夫が通院、カウンセリングも行かなくなったこと、
そして“巻き込み”が酷くなったこと、
ついには家庭が破綻したことなどを、
私は問題だと思っている。

加えて、私は職業上、
強迫性障害の子どもに接することもあったが
医師からは、養育環境の影響は大きいと聞いていた。
私自身の主治医も、環境因子について同様の意見で、
私は娘への影響がずっと気がかりで、不安だった。

小学校に入り立ての時、
新品のランドセルを見せびらかした娘。
同い年の幼馴染のものは、お姉ちゃんのお下がりだった。

幼馴染は、たえちゃんの見せて、と
おっとり言った。
お母さんが優しい人だからか、
優しい柔らかい雰囲気をまとっている。

蓋を開けると出てきたのは、
私に渡していないだいぶ前のプリント、
少し潰れたお菓子の散らばった欠片、
そして水筒の水が漏れてしわくちゃになった教科書だった。
友達は、それらを一つ一つ収納し直し、
たえちゃんっぽい、と笑った。
父親の影響は、さほど心配しなくて良さそうだった。

それから数年。
娘は、その点、あまり変わらずに成長した。

よきかな、大雑把。 
そのうち、本当にメイクをし始めたりもするのかな。
幼なさは、今のうちだけかもしれない。


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