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サントワマミーと、ユーミンと、おばさん
二人の恋は終ったのね
許してさえくれない貴方
サヨナラと顔も見ないで
去って行った男の心
楽しい夢のようなあの頃を思い出せば
サン・トワ・マミー
悲しくて目の前が暗くなる サン・トワ・マミー
私が子どもの頃
父が母に買って来たLP。
母は、あまり喜んでいなかった記憶がある。
母が越路吹雪か好きだったのかは、
今もよくわからない。
ジャケットの派手なメイク姿には仰天したけれど、
私はこの歌と、プチプチというレコードの音が好きで何度も聴いた。
学校では、流行っていたイモ欽トリオを友達と歌っていたのに、家ではシャンソン。
思えばおかしな子どもだったのかも。
中でも、目の前が暗くなる、のところが好きだった。
のちに、ラジオで松任谷由美の“翳りゆく部屋”を聞いた時
私が思い出したのは“サントワマミー”だった。
週末、
以前働いていた職場に、研修で行って来た。
懐かしい景色、建物、顔触れ。
離婚を巡るトラブルが元で、やめてしまった。
悲しかった。
いつかまた学びたい、あの場で、思い切り働きたい。
そう思った。
戻らないの?
また来たらいいよ、
そう言ってくれる人達には
迷惑をかけたから…と曖昧に、控えめに答えながら、
内心は、ずっとずっとずっと、強く未練があった。
六条の御息所も真っ青な。
でも、
生半可には務まらない。
そして、色んな事情で、遠く離れた実家に帰って来た。
区切りをつける。
それはきっと、新しい何かを生むことだ。
懐かしい人達に挨拶していると、
今の職場のメンバーは殆ど先に帰っていた。
上司に、私も帰る旨を伝え
海を見ながら、駐車場まで歩いた。
元夫と最初の別居をした頃も、ここで働いていた。
仕事中は全く家庭のことは思い出さずに済み、
帰りに急に力が抜け、
周りに人がいないことに安心して泣きながら帰った道。
打ち込める仕事があって、救われた。
娘とも何度も歩いた。
娘はこの坂道を、覚えたばかりの縄跳びをしながら下ったし、
自転車に乗れるようになった時も駆け降りた。
さようなら。
ありがとうございました。
そう呟いたら、頭の中で、サントワマミーが流れ、途中でユーミンの歌になった。
どんな運命が
愛を遠ざけたの
輝きはもどらない
私が今死んでも
私は、あと40年は元気でいる予定のおばさん。
ドラマチックな歌詞と、自分の身の上との距離感。
ちょっと可笑しかった。
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