とある入社式で社長が言い放った言葉
4月1日。入社式の日。
いまから何十年か前、私も新卒で入社式を迎えた。
当時としては人気企業で倍率もそれなりに高かった。
高倍率を潜り抜けてきた新卒の社会人を目の前にして社長は言った。
「もし、この会社が合わないと思ったらすぐに辞めるほうがいいです。
人生には違う道というのもある。無理して合わないところにいる必要はないですから。すぐに辞めたほうが自分のためです」
といったような言葉だったと思う。
入ったばかりの社員を目の前にして何ということを言うんだと当時のまだ若かった私は思ったけれど、今なら社長が言うことに頷ける。
有名な漫画、大人気の漫画、『スラムダンク』の中で監督が選手に「諦めたらそこで試合終了ですよ」というセリフがある。
日本漫画史上で一、ニを争う名セリフじゃないかと思うのだけれど、この安西監督とは正反対のことを社長は言っている。
どんなものでもそれを発信した人の手を離れ、多くの人が「素晴らしい」「その通りだ」と手放しに褒めることには少し懐疑的な目を持つこと、本当なのか?という見方をすることは、よりよく生きるための術の一つだと思っているのだけれど、これなどもその一つ。
(『スラムダンクは私も好きですし名作です』)
諦めたらそこで試合終了。
たしかに試合は終了する。
諦めずに続けたからこそ勝てるし、勝てなかったとしても何かが残る。
でも…。
これは試合の話。
何かを諦めても人生は終了しない。
何かを諦めたから新たな何かが始まることもある。
以前、コーチングの仕事でまったくお客さんの来ない人がいた。
無料ならくるけれど有料だと来ない。
来た人とはトラブルが起こる。
本人は頑張ったと思うのだけれども、これなどは「他の道があるよ」と天が教えてくれているのかもしれない。
こういう時は本人が諦めたくなければ続けるのがいいけれど、諦めてほかに行くのも道なのだと思う。
諦めたくなければ諦めず、違うと思えたら他にいく…くらいに考えておいたほうが生きるのが楽になる気がする。
諦めない姿はカッコいいけれど、
人生というのは案外、諦めの積み重ねなのかもしれない。
4月1日。
たくさんの新しい門出に祝福がありますように。
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