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文化が違うって、こういうことだ。

男の子が
ツインテールをしているのに
動じなくなってしまいました。


かなり高い位置で結んでいるから
ぴょんぴょんした髪が目立ちます。

「クリシュナさん(仮名)
 今日、可愛いですね」と、
褒めておきました。

お洒落、でしているんじゃ
ないことは知っています。

ただ、邪魔なのよね。


留学生はロン毛の男の子が多いです。

※ロン毛って、死語?

お洒落でしているんじゃ
ありません。

床屋さん代が高くて
頻繁に髪が切れないのです。
だから友達に切ってもらったり
自分で切ったりしています。

腕がムッキムキで
眉毛がないスキンヘッドの
コワモテの学生が、
ピンクにウサギちゃんの絵のついた
ファンシーな鉛筆を持っていることに
何も感じなくなってしまいました。

日本人だったら鉛筆1本にも
こだわりが自然に出てくるのでしょうが、
そんなこだわりは彼らには無いのです。

ただ書ければ良いのです。
鉛筆の絵が女の子っぽいから
恥ずかしいなんて気持ちは無いのです。

選べる贅沢は、存在しません。


プリントは青や赤や蛍光のインクで
書いて提出する学生も
珍しくありません。


そこに、その色のペンがあったから
それで書くのです。


「それは日本では駄目ですよ」
と何度言っても、
習慣になり切れていないのです。


「先生!」と呼ばれて
声のした方を見てみると
学生が書く仕草をしています。

これは、鉛筆忘れたから貸して、
のサインです。


日本人でも筆記用具を忘れる学生は
いるでしょうが、
留学生にはたくさんいます。

毎日、持ってこない学生もいます。
ちゃんと準備する習慣が無いのです。



それで例えば私の筆記用具を貸すと、
私が余程気をつけて覚えていないと
大抵、戻って来ません。

盗ってやろうと思っているのでは
ありません。

人の物と自分の物の区別が
日本人より曖昧なのです。

気をつけて覚えていて、返そうという
習慣がないのです。

だから、後ろに座った知らない学生に
「消しゴム貸して」と言って借りるなら
まだ良いですが、

何も言わないで勝手に借りて
返し忘れるということも
日常茶飯事です。

もっと言えば置きっぱなしの
使いっぱなし。
貸した方もあまり気にしないし、
借りた方も
責任を持って返そうなんて
思っていません。


夏場は可愛い女の子が
話したこともない別の国の男の子の
持っているペットボトルのお水を

「ちょっとちょうだい」と言って
口をつけて飲みます。


こ、これって間接キス?
いや〜ん💕
なんて思う子はいません。

誰が口をつけていようが
構わないのです。

寒くなった今だって
大きいペットボトルを
何人かでお金を払って買って、
数人で口をつけて飲み回しているのを
よく見かけます。


教科書が重いから
持って帰らないで、
机の引き出しに置きっぱなしにしたら
なくなった、ということも
日常茶飯事です。


午前の学生が午後の知らない学生の
置きっぱなしの教科書を勝手に借りて、
更にそれに書き込みまでして、
もっと言うとそれを
家に持って帰り、
学校に持って来ない、ということも
普通にあります。


日本人からすると
泥棒ですね。
外国人の彼らにとっては、
そこにあるから使った
それだけなのです。


ある日の急に雨が降って来た
時のことでした。



講師室にいたら学生が入って来て
いきなり講師用の傘立てから
ビニール傘を掴み、
勝手に持って行ってしまいました。

悪そうな顔をして
コソコソと泥棒した訳ではありません。
困った挙げ句にやった
ことでもありません。

彼にとってはごく自然のことで、
ただそこに傘が見えて
雨が降っていたから持って行った、
それだけのことなのです。

もちろん、
どなたかの先生の傘です。


それは日本では犯罪なので
慌てて追いかけましたが、
その頃帰宅ラッシュだったため
他の学生に紛れて
犯人の学生はいなくなってしまいました。


外国人が増えるということは
こういうことです。


どうか、嫌わないでやって下さい。
これが、文化が違うと
いうことなのです。


人に物を借りたら
丁寧に使って
ちゃんと返そうという文化が
ないのです。

地面にあった石を使うように
人の物と自分の物の境界が
曖昧なのです。

悪気があって
やっている訳ではないのです。

だけど、
コンビニでアルバイトすることが多い
留学生は

「セルフレジだと泥棒が多いよ」

「毎日、泥棒を見ます」

「日本は泥棒が多くておかしいです」

と言って来ます。


マッチョで怖い顔の学生が
アルバイト先のコンビニで
1週間に3人連続泥棒を捕まえたから
警察に表彰されたこともありました。


商品を盗んではいけない、ということは
ちゃんと分かっているのです。


私たち教師は
何度も何度も口を酸っぱくして
日本の文化を教えますが、

このたった数年の間に
頭で分かっていることが
習慣として落とし込めないまま
卒業して行く学生も少なくないです。


どうか、
温かい眼で接してあげてください。

勝手にそこにあった
あなたのペンを使った挙げ句
返し忘れても、
その子個人が悪いというより
そういう文化なのです。

何度か伝えれば
そのうち分かります。


日本はこんなに少子化だから
彼らの存在が無ければもう
やっていけないのです。

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みおいち@着物で日本語教師のワーママ
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