記念日は4年に1回【恋の思い出企画】

その人は私が転職した
在宅介護系の会社で
ITの担当をしていました。

大変に忙しい人で
彼の机上にはいつも
電話の伝言メモが幾つもずらりと並び
帰りは毎回一番最後でした。

私は事務をやるのは
この会社で初めてでした。
当時のPCは性能が悪く
すぐに固まって動かなくなりました。

上司は別の島にいて
先輩方は猛烈に忙しそうでした。

PCが固まって困ったな、と思っていると
気づくとITの彼が
何故かいつも後ろにいて
「ここをこうしてこうやると
　動きますよ」と
教えてくれました。

複合機が詰まった時も
何故か大抵後ろにいて
直してくれました。

足音も気配もしなかったけど
忍者かな......。

ある時、複合機に
トナー交換の表示が出ました。
忍者くんはまた
気づくと後ろにいて
トナーを交換しながら
やり方を教えてくれました。

「トナーの粉を吸うと
　死ぬので、
　絶対に吸わないように
　してください」

いいことを聞きました。
お陰さまで命を救われました。

※本当に死ぬかは疑問です。

命の恩人だからか
私は次第に忍者くんのことが
気になるようになりました。

当時、私は遠方に恋人が
いたのですが
なかなか会えないので、
淋しいから別の人が
気になるのかな、程度に
思っていました。

その後忍者くんは
別ビルの別部署に異動してしまいました。

が。

やっぱり気になる。

そんな訳で恋人には
別れを告げて、
私はしばらくフリーで
悶々と考えていました。

2月14日のバレンタインデー。

飲み会があってそこに
忍者くんも来るということで、
私は
「よし！告ろう！」と
一世一代の決心をして
チョコレートケーキを
焼きました。

当日。

頑張って忍者くんに
たくさん話しかけましたが、
何故か私にだけ
妙に冷たい......。

さては私の
チョコケーキの匂いをかぎつけて
「面倒くさいことになりそうだ」と
壁を作ったのかな？

私の一世一代の決心は
脆くもガラガラと音を立てて崩れ去り、
その日は何もしないで帰り
家で一人で
チョコケーキを食べました。

何故か大変に美味しかったのを
覚えています。

次の2月15日は土曜日。

私は心が氷点下30度で
グッタリしていました。
この世の陰を全て
一人で背負ったような気分でした。

何にもしていないのにねぇ。

その時、ピロンとメールが！

なんと！

忍者くんからでした！

「昨日は楽しかったですね。
　(どこがじゃ！)
　僕は実は以前から
　みおいちさんのことが
　気になっていました。
　もし良かったら今度
　お茶でもしませんか」

......。

男心というのは全く持って
理解不能です。

私が気になるのに
なんで私にだけ
あんなに冷たい態度だったのでしょう。

いまだによく分かりません。

とにかく、
そうやって私たちは
何度かデートを重ねました。

今は記念日などは
ケロリと忘れてしまいますが、
当時は若かったので、


「誘われた記念日〜♪
　2月15日〜♪
　1日遅れ〜♪」


など
しっかり覚えていました。

何回目かのデートの帰りです。

銀座阪急の
時計台の下で

「ちょっとこっち来て」

と
腕を掴まれ、

「本気でお付き合いしませんか」

と
言われました。

もちろんOKしました。

わ〜い💕
お付き合い記念日〜。

ん...?

今日何日だっけ？

2月29日だ‼︎

まさかの4年に1回？？？

おわり。

P.S.
皆さんが勇気を出して
恋バナを投稿して下さったので
私も書いてみました😆

恋の思い出企画
やっています。
通りすがりの方もどうぞ！