銀座ワシントン
「卒業式は、サリーを着るの?」
との問いに
その子は答えました。
「いいえ、先生。
これ買っちゃった!
おかしいですか?」
2,980円の
デザイン性のあるワンピース。
素材はポリエステルかな。
貴女たちは若いことだし
何を着ても
可愛いと思う。
サリーも国では
着慣れているでしょうし、
当人には変わり映えしない
んでしょうね。
だけど、
民族衣装を纏った貴女達は
本当に綺麗なんだけどなぁ。
ちょっと勿体無いな。
学校で履く靴を買いに
銀座ワシントンへ。
私は仕事用の靴は
ここでしか買いません。
わざわざ銀座まで行って
いろいろと試し履きして
一番気に入ったものを買う。
私に合った靴を
売ってくれるブランド。
一度買うと
長期間履けます。
毎日階段上り下りと
立ちっぱなしで、
学生の周りをうろうろと
歩きっぱなしの私は、
草履や靴は
いいものを買おうと決めています。
同僚たちの中には
スニーカーで授業をする先生も
普通にいます。
それはそれでいい。
私も普段は
ニューバランスの愛用者です。
だけど、少しくらいは
私みたいな先生が
いてもいいんじゃないかと思う。
高校の頃の
茶道の先生は
いつだって着物を着ていました。
早熟の同級生は
先生、素敵!って
大盛り上がりしていたけど、
私はぼーっとしていたから
そんなものかなぁ、と
思っていました。
だけど
自分が教師になってから
躊躇なく着物を着て
仕事出来ているのは、
もちろん母や祖母が
着物の人だったのもあるけれど、
この先生の着物姿を見慣れていた
お陰も少なくないと
思います。
数学の女性の先生は
比較的若くて
いつも色とりどりの
パステルカラーのスーツで
教壇に立っていました。
やっぱり早熟な友だちは
「素敵!素敵!」と
騒いでいたけれど、
私はこのときもぼーっと
そんなものかなぁ、と
思っていました。
今、洋装で仕事するときは
淡い色のスーツも
躊躇いなく着ます。
教師が出来ることなんて
ほんの少しかもしれないけれど、
一方でその影響は
とてつもなく大きいんじゃないかって
思います。
ねぇ、私は
皆さんが見るのも当たり前に
なったくらい
着物を着て授業したけれど、
そんな風に皆さんが
民族衣装を当たり前に
大切にするのに
わずかの影響でも
与えられていたらいい。
皆さんの前では敬意を表して
服装には極力
気をつけるようにしていたけれど、
そのことで皆さんが
将来
当然のことのように
フォーマルを、
質の良いものを、
躊躇なく纏う
入り口が開くといい。
知らない世界には
行けないから。
知っている世界には
自然と目が向くから。
そうやって
質の良いものを
身に纏って
作った側の愛情を知って
物を大切にする習慣が
身につくといい。
p.s.
銀座に行ったからには
これでしょう。
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