夏は夜。
夏が好きだ。
もくもくしている入道雲。痛いくらいの陽射し。宇宙人になれる扇風機。
いっそう輝く海。聞くだけで体感温度が下がるような音の風鈴。聞くだけで体感温度が上がるような鳴き声のミンミンゼミ。切ない鳴き声のヒグラシ。
非日常を楽しむ夏祭り。
神様が、人間界に大きなドライヤーをあてているのだと思ってしまうような熱風。
夜には、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイル、こと座のベガが描く大きな三角形。
儚い花火。
太陽と長く過ごせる夏が好きだ。
汗ばむ肌が夏を告げている。わたしはまだ夏を迎える準備ができていない。
現に、季節の変わり目にいつも投稿しているこのnoteを大慌てで書いている。
7月7日頃の小暑に間に合うように書こうと思っていたのに。
例年よりも随分と早くやってきた今年の夏。
色々なところで久しぶりに花火大会や夏祭りが開催されるようだ。
わたしの地元でも、大きな夏祭りが3年ぶりにひらかれる。
夏の夜なんて蒸し暑いのに、わざわざ浴衣なんか着て。
「浴衣似合うね。」なんて褒め言葉に照れちゃって。
人の海に溺れかけながら、色とりどりの似たり寄ったりな屋台を見て回って。
地元の人しか知らなそうな穴場スポットから花火をみたら、線香花火がしたくなって。
スーパーやコンビニで、缶のお酒と手持ち花火を買って。
時間が止まれば良いのに、なんて微酔のとぼけた頭でぼんやり思って。
いつもよりも緩い歩調で帰路に就いて。
……こんな夏祭りが来るかもしれない。考えるだけでも楽しそうだ。
今のところ、誰かと夏祭りに行く予定はないけど。今のところは。
今年の梅雨はすぐにあけてしまった。
いつかの春、桜と雪を同時にみたことを思い出す。
かんかん照りの中に咲く紫陽花を味わえる日が来るとは思っていなかった。
6月でこんなにも暑いのに、8月なんてどうなってしまうのだろう。
体が溶けてしまうのではないか。
でも人間の半分以上は水で出来ているらしいし、もともと溶けているのかもしれない。
なら良いか。