0970.この自分で、この人生が、とてもすき
お誕生日おめでとう、俺。
個人的に仲の良いひとたちから、ちらほらと「おめでとうメッセージ」が届くのをうれしく眺めながら、のんびりと「おめでとうをありがとうメッセージ」を返す。
昔は自分の誕生日がくるのが怖かった。
SNSでキラキラ起業女子風をよそおって、やたらめったらフォロワーや友人を増やしまくっていた頃、その頃の流行りは「キラキラお誕生日SNS投稿」と、3桁4桁の人数当たり前の「バースデーコメント合戦」だった。
なので、わたしは戦々恐々としていた。
同業のあのひとや、ライバルのあのひとのお誕生日は、山ほどのコメントがついていた。どこかを貸し切ってお誕生日パーティーをして盛り上がっている自撮り写真をわんさか載せていた。
それに引き換えわたしはどうだ。どうだろう。どうなるんだろう。どう見えるんだろう。
と、そんなことばかり気に病んでいて、その競争の渦中にいた数年間はいつでも憂鬱だった。その頃の自分の写真を見ると、にっこりしている、けれど目は笑っていなくって、とても深刻な重い雰囲気をまとっていた。
いまは気楽なものである。肩の荷を下ろすってこういうことー!?って感じだ。
だれに背負わされたのでもなく、自分で勝手に背負いまくっていた、いらない荷物。どこかで一気に捨てたわけではない。
「あ、これ、いらない」「ん?これももう、いらないかな」と、小さな違和感に気づくたびに、「ほんとうはどうしたいの?」と根気よく尋ねながら、少しずつ少しずつ、荷物を下ろしてきた道中だったのだろう。
まだまだしがみついて、抱えているものもあるだろうけれど、気長にやっていこうと思う。
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東京都美術館へ。
「お誕生日に、上野でやっている岡本太郎展に連れて行ってあげる。それで、お寿司をおごってあげるよ」と誘われたので、今日はとても気持ちの良い日差しの中、上野恩賜公園にある東京都美術館に、両親とわたしとで行ってきたのでした。
わたしはひとりっこで、わりと実家に近い距離に住んでいるのでちょくちょく彼らとは会っているのだけど、こうして親子水入らずでお出かけするのは久しぶり。
岡本太郎展はすばらしく(特に、立体が! あと、あの鮮やかな赤と目玉のモチーフに行き着く最盛期の、ちょっと前のあたりの絵がすごく好きだと思った)、お寿司は美味しく、両親はわたしよりもモリモリとお寿司を食べて、元気だった。
ザ・健康!って感じ。あのひとたち。
いつでも、やれゴルフだテニスだ美術館だ飲み会だ旅行だと遊び歩いていて、スポーツ万能で社交的で、まったく血縁を感じない彼らだけれども(笑)、元気で楽しそうにしていてくれるところがいいな、と会うたびに思う。
あ、自分の誕生日にかまけてすっかり忘れていたけれど、お母さんががんばってわたしを産んでくれた日でもあったのだ!!
お寿司をおごってあげるべきは、わたしだったのかもしれない。デスヨネー。
しくったな〜。なにか他の機会に、ちゃんとお礼を伝えたい。
産んでくれてありがとう。
この自分で、この人生が、とてもすきです。
生まれてきてよかったよ、お母さん、と。(あ、お父さんも……笑)
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