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産婦人科医の初診を予約【妊活2】

【あらすじ3行】
・同性カップルの場合、フランス在住中に妊活した方が良さそう。
・7月予定の帰国までにフランスで人工授精しとくか。
・で、何から始める?何したらいいの?

さて、決断をしたからには、妊活を始めよう。でもどうやって?何をすべきなの?

フランスで妊活をする!という決断をしたのはちょうど2月中旬。
この時点で帰国は5ヶ月後。
次の週にシチリア旅行を控えていたところだった。

ちなみに、どちらが子どもを産むか、という点についてはあまり我が家の場合議論にはならなかった。
というのも、私は35歳、彼女(のあ)は27歳。
年齢からくるリスクや、
のあの方が子どもを産みたいという意思があったことを踏まえて、
自然に彼女が産む前提で話が進んでいた。

妊活や妊娠過程、産んだあとなどの彼女の体の負担や
予約等がフランス語でのやり取りであることを考えると、
基本的に手続など私ができることは私がやりたい。

したがって、まず私の方で、やるべきことの割り出しをする必要があった。

この点、妊活の手筈を整える流れや二人の間での役割分担は
すごく仕事に似ている。

仕事でいうと、彼女は幹部や上司のようなものだ。

彼女を、適切なタイミングで、適切な場所に配置して、
適切な行動をとってもらうために、手筈を整えていく。
もちろん彼女の同意なしに事は運ばないので、全体像と対処方針をわかりやすく彼女に説明した上で「いいよ!」とGOサインが出たら予約等実施していく。
うぉうぉ、なんだかすごく親しみのある流れだな。

ちなみに信頼感を得ることができれば、
「んーなんだかよくわからんが、まかせた!」
「ありがとうございます!万事うまく進めてまいりますが、
何かあればまた相談させていただきます!」
「くるしゅうない」
というやりとりも発生する。

つまり、彼女は我が家という会社の幹部なのだ。


話は逸れたが、妊活をするためにやるべきこと。

まずは、産婦人科医の予約
ここで問題がある。
普段使用しない医学用語は、フランス語で理解できる気がまったくしない。
また、診察の内容は、彼女の体に影響することなので、
言語的なリスクを最小限にしたかった。

そういう話をしていると彼女が
「日本語で診療してもらえる病院があるよ!」
と日本語対応可の産婦人科を探してきてくれた。
この病院は、フランス語での診療に日本語の通訳を厚意でつけてくれるとのこと。

「いいじゃんいいじゃん!さいこう!」
上述2つの心配な点を解消してくれるナイスアイディア。

ちなみにこの人、妊活のことになると、
FBIかっていうレベルで情報収集することができる特殊能力がある。
言語の壁や医学用語はものともせず、
情報の海から目当てのものを秒速で探し出すのだ。

これが確定申告になると、急に日本語すら危うくなるのだから不思議だ。
去年ストラスブールにいたときに、
「まじでそろそろやった方がいい」と私から言われ続けて
100万回目くらいに、いかにも「やりたくないです」という顔をして
しぶしぶ調べ始める。

調べ始めて5秒後に、
「海外在住者って何ー?のあは海外在住者に入るのー?」

入るだろ、そんな難しい単語でもないだろ、と色んなつっこみが湧き出てくるが、
私レベルの訓練された人間は、そんなそぶりを表に出すようなヘマはしない。

「じゃあgoogleで『確定申告 海外在住者』で調べてみようね。
あっここに海外在住者の説明が書いてあるね!
なんだろうね。
のあは入るかな?入らないかな?」

ちらっとのあを見ると、
『海外在住者』の定義が書かれたPCの画面を見ようとすらせず、
代わりに私の顔を凝視して、「あなたがやってよ」と無言の圧をかけてくる。

それがどうだ。
妊活のためとなると、フランスの産婦人科医を
いくつかの候補とともに秒で探してくるのだ。
この人って本当に不思議だと思う。

話は戻るが、我が家のFBIのおかげで
日本語通訳付きの産婦人科を見つけることができた。
あとは予約できるかどうか。
というのも、フランスでは医療機関では、予約が3ヶ月後からしかとれない、
ということがざらにあるのだ。

善は急げ。ここの病院に電話をしてみた。
「もしもし、同性カップルで人工授精をしたいのですが可能でしょうか。」
「医師の方での判断になりますので、まずは診察の予約をさせていただきますね。お越しになる際には、○○の入り口からまっすぐ進んで○○のエレベーターに乗ると早いですよ。受付は○○にいますので、到着したらここに声をかけてくださいね」

なんと丁寧な!
行き方の案内や手順を説明してくれるなんて!

「ありがとうございます。日本語対応可能とのことでしたので、大変心強いです」
「そうですよね。お気持ちはわかります。当日医師通訳がつくかどうかは診療の混雑度合いにもよるのですが、通訳必要ということで予約しておきます。当日到着されたら、念の為医師にもその旨お伝えくださいね。それではお気をつけて当日お越しください。」

うわー日本!気遣いが抜かりない!

フランス在住の方はこの記事を見て「そう!そう!そう!」と首がもげるほど頷いていることと思うが、一般的にはこんなに丁寧に手順を聞いてもいないのに説明してくれることはめったにない。
そのため、実際に到着したあと、何人かのスタッフに尋ねてようやく目的の人に会えるということも珍しくない。
(そしてその「何人かのスタッフ」も「知らない」とか「向こうの方にいけばいい」という感じのざっくりしたアドバイスであることも多い。)

基本的には案内するのは、必要最低限の情報だけ。
必要な情報があれば自分で質問して聞かなければいけない。
なんでもかんでも丁寧に1から10まで提供してくれる訳ではないし、
それが「普通」であって「不親切」なのではない。
丁寧に教えてくれる人が「めちゃくちゃ優しい」のであって、
その場合はその人にとっても感謝した方がいい。

この点、例えば、
「よっしゃ、わかった。そしたら必要なこと聞けばいいだけじゃん。
必要になりそうなこと準備しておいて、全部聞こう!」
と、日本人の「念の為」根性で細かく聞きすぎると、
それはそれでめちゃくちゃ嫌そうな顔(声)をされる。
彼らに言わせれば、
「行けばわかる。行って分からなければ、誰かに聞けばいい。」
ということなのだ。おっしゃるとおり。

ちなみに、練習してんのか?!っていうくらい、
彼らは「嫌だなって私思ってますよ」という顔をするのが上手だ。
私たち日本人もちょっと練習した方がいいかもしれない。

だいぶ話がそれたが、産婦人科医の受付の方の
日本語での、いかにも日本らしい電話対応に、
私は感動した。
別に私はフランス式と日本式どちらを称賛するつもりもなく、
郷に入れば郷に従え派なのだが、
久しぶりの日本の風を思わぬところで感じて、なんだか懐かしく、
かつ、妊活という未知の世界を前に、非常に頼もしく思ったのでした。

もう一点、妊活に向けて準備しなければならないことがある。
それは保険証の発行

私はStagiaire(研修生)、彼女はVisiterのビザで
二人とも今年で2年目の滞在になる。
3ヶ月以上滞在する外国人についてSécurité Socialeという保険の適用があり、
人工授精やそのための一連の施術の費用(精液代は除く。)が、
このSécurité Socialeで100%カバーされる。

この点、保険証の発行には時間はかかるが、
保険証発行前に医療措置を受けておいて、あとで請求することもできるらしい。

つまり、医療機関に支払うときに、
「あとで補償が聞く部分について返金請求するから
fouille de soin(フイユ ドゥ ソワン)を作ってください!」
というと
「OK。保険番号がわかったら、ここにその番号を書いて、
そしたらサインして保険機関に送付してね」
と言って、医療行為と金額と医療機関名が書かれたfouille de soinを
作成してくれる。

とりあえず、シチリア旅行前の2月中旬には、
シチリアから帰ってきてすぐに妊活を始められるよう
保険証発行のための窓口面会予約をしておいて、
産婦人科医の初診は旅行後すぐに予約しようということになった。

そう、動画のシチリア旅行はこういう背景の中での旅行だったのです。
頭の中は「帰ったら妊活始まるぞ」ということでいっぱい。

そういう目でこの動画をもう一度ご覧いただければ、
また違ったふうに2人が見えるのではないでしょうか。

旅行中も、
「もし子どもできたら〜」
「もし産婦人科医行ってこんな感じだったら〜」
っていう会話が7割だった。
のこり2割は食べ物。
そしてのこり1割はのあの体調について。
つまり、トイレ行きたい?お腹いたい?足痛い?どっかお店で休む?など。
これは妊活とまったく関係ない。いつものことだ。

話は戻るが、このシチリア旅行後の産婦人科医の初診において、
私たちのような同性カップルが人工授精の施術を受けられるかどうかが判明する。

「いや、法律的にはできるんですけど、技術的にちょっと…」とか
「まぁ理論上はできるんだけど、時間かかるんだよねー!1年とか。」とか
フランスでの人工授精を断念せざるを得ない理由は色々考えうるので、
人工授精用の精液どれにしようか問題は、
また初診後に二人で選ぼうということになった。

この産婦人科医の初診を受けたのは3月上旬だった。
今、この記事を5月上旬に書いている。

この時の私たちに言いたい。

まじでその産婦人科やめとけ、と。
日本語じゃなくていいから、すぐにでも別の産婦人科医探せ、と。



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みにょんエッセイ
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