無かったことにするは出来ない
自己開示的な内容を見聞きする時、私の心は揺れ動く。そんなプライベートな出来事を人に話して大丈夫なのだろうか、と。自殺未遂や配偶者の不倫、幼少期に受けた性的被害。こういった経験は、自分の中で静かに受け止めておけばいいことなのではないか。
「蓋をする」という言葉で片付けられてしまえばそれまでだ。でも、そうせざるを得なかった人たちがいる。彼ら彼女らにとって、それは心を守るための唯一の術だったはずだ。
その経験を、わざわざ誰かに伝える必要があるのだろうか。そんな疑問が、いつも私の中で渦を巻いていた。むやみに同情する人、歪んだ解釈をする人がいる。だからこそ、分かり合える人との間だけで共有する方が、自分を癒せるのではないかと考えていた。
けれど今、少しずつ見えてきた景色がある。誰かに話すということは、その人にとっての大切な通過点なのかもしれない。次のステージに進むための、欠かせない踏み台なのだと。
そう理解できた時、自己開示について静かに、でも確実に変わっていくのを感じた。
そう思わせてくれた本はこちら
同じ内容が何度も繰り返されている箇所が見られる。それはきっと著者にとって、私たちに何度も聞いてほしい出来事に違いない。
そして読み終えた時、著者の言葉の中から、新たな兆しのような小さな光明が見えたように感じた