結婚とモラハラがセットになる理由
金魚を飼っていた経験から、「イジメって生き物に備わった生存本能なんだ」と腑に落ちています。エサがちょっとでも少なくなると、共喰いしてしまうんです。
べつにイジメを肯定するわけではないけれど、誰でもする側・される側になる可能性を知った上で、逃げるかブチのめすかの対策をした方がいいです。(詳しくは専門のカウンセラーさん↓などのプロに相談を)
相手を恨んだり自分を責めたりは、的外れ。
なーんて知ったかぶりで言う私も、モラハラ夫をのさばらせていました。自分が陥っていたイジメ(としてのモラハラ)の構造に気づいたのは、「ライフハック結婚」を目の当たりにしたニューヨークで、です。
アメリカ国民またはグリーンカード保持者との結婚でグリーンカードを取るのは、策略家みたいで良いイメージではないことも。「雇用ベースのグリーンカードが取れないための、苦肉の策」と考える人もいるでしょう。
女性の場合は、「女の武器を使った」とか……。
だけど友人で該当者が結構いる私には、そうとばかりは思えません。該当女子はみんな、アメリカンたちが寄ってきてロマンスが始まってしまうタイプの、魅力的な子ばかりではありますが……。
また一般的にはともかく、ある種の環境では彼ら彼女らは逆にスターですし。
以前通っていた語学学校のクラスに、該当スター女子が2人いました。それとロシア人の美人先生Oの彼氏がアメリカ人で、Oは結婚を望んでいました。
クラスはしばしば、女子会の相談タイムの様相に。誰しもグリーンカードは目標。なので男子も含め、みんなが好んでディスカッションに参加していました。
私は当時、会話力もないし、恋愛経験も持ち合わせてないので、もっぱら聞き役。そこで感じたのは、結婚女子たちとOの明らかな違いです。
Oほどの美貌で修士持ちの秀才で性格も抜群に良い女性は、アメリカ人にも滅多にいないはず。「なんで彼氏さんはプロポーズしないのかなぁ」と、私もジリジリしてはいました。
Oは結婚でなくても、そのまま仕事を続ければグリーンカードは取れる状況でした。結婚を望んだのは、おそらく女心ゆえ。
ただ、一言で言うと、OはNeedy (物欲しそう)なのです。比べて結婚女子たちは、力みが微塵もなし。Oのお悩み相談に乗る彼女たちの親身なアドバイスから伝わってくるのは、「策を練ることなく結婚したんだろうな」という、軽やかなオーラでした。
このうちの1人は、今でも親しい友人のオランダ人I。アメリカ人白人の旦那さまとの出会いのきっかけは、同じアパートに住んでいて声をかけられたことだそうです。
その後の風の頼りで、Oは当時の彼ではなく非アメリカ市民の歳下男性と結婚したそう。「良かった!」と、芯から安心しました。なぜなら、物欲しさからの結婚はモラハラの温床だから。
私は当時、韓国人の友人Bが中南米系アメリカ人彼氏にモラハラされる有様を、間近に見ていました。Bは私のルームメイトで、私たちの家で彼氏と半同棲の生活をしていたからです。Bは極度に自由を奪われた状態で、学業とアルバイトの多忙な日々を耐えていました。
彼氏は側から見ても独裁者的な性格。例えばキッチンで貸してあげたお皿を「You can leave it here when it’s done(使い終わったらそこに置いといてね)」と言ったら、不愉快な調子でボソッと返事をされました。
うまく聴き取れず、一緒にいたBの顔を見たら、心得たように「pleaseと言って、だって」と解説してくれました。
はあっ?? 私のほうがはるかに歳上でもあるし、ごく丁寧な口調で伝えたのに……。
英語が少しはわかるようになった今考えても、「何言ってんの?!」って話。ですが、当時のBは決して彼氏を悪く言うことはありませんでした。
Bは彼氏と同じ名門大学に通っており、彼氏以外の男子と口をきくことを許されてないばかりか、女子とも個人的な付き合いをしないように言われていたのです。
ご飯の支度も後片付けも、全部Bの役目。私は作りすぎたおかずをよく分けてもらいましたが、韓国風巻き寿司など、味が良く凝った料理が多かったです。
そんな日々にもやがて破綻が来ました。詳しくは言えませんが、彼氏はBとの結婚に踏み切り、私は区役所で証人として二人の結婚手続きに同席しました。
その後の生活は、更に酷いものだったよう。結果的に、グリーンカードを手にした段階で離婚。フェイクの結婚でない証明のため、モラハラの証拠集めを秘密裏に遂行した末のことでした。
これだけを聞けば、「グリーンカードのために結婚した女」に聞こえるでしょう。けれど、Bは基本的に彼氏のことが好きで、なんとか良い関係を築こうと、彼氏の家族も巻き込むなど懸命の努力を重ねていました。
今、モラハラ彼氏・夫に悩んでいるあなた、「この話って、もしかして私のこと?!」と思ったのではありませんか?
結婚しない女性に冷たい日本では、どうしても女性はNeedyな立場。結婚で恩恵に与るのは、男性だって同じでしょう。それなのに、なぜか妻に落ち度があるかのごとく、夫に弱みを握られることになるのです。
前回述べたライフハックとしての結婚は、使える手段ではありますが……。ともすれば結婚で得た恩恵を逆手に取られ、イジメ(モラハラ)を誘発するので、取扱注意です。
モラハラ男の正体がわかったからには、「逃げるかブチのめすか」? 私は力技で押さえこんでいるかな……。決して共喰いをされないよう、ご無事を祈ります!
最後に、Oがある日のクラスで歌詞を教材にしてくれたブルーノ・マーズさんの失恋ソング "When I was Your Man"(君の彼氏だったあの頃)を貼ります。
彼女に去られた男が、「次の彼氏はどうか君に花を買い、一緒に踊ってくれるように。自分はしてあげられなかったから……」と未練を歌います。
この曲はまるでOの恋の結末を予見していたかのようで、聴くたびに切ない気持ちになります。名曲ですね!