
18歳プレイボーイに操られた?子持ち人生、いいのか悪いのか
「知らない人とキスしちゃダメじゃない!」と高3男子を諌めたのは、マジメを絵に描いたようなマネージャー A先生でした。
A先生は私の初の職場(英会話学校)の、初の上司。学習科に通ってきていた茶髪イケメンT部くんからの報告「ゆうべディスコ(‘80年代でした)で意気投合した女の子と、雰囲気で……」に対し、彼女は黛をしかめて冒頭のように返しました。
T部くんは、気がなさそうにレッスン室に入ってきてサラッとキャンディを一粒手渡してくれるような、ツンデレ系プレイボーイ。ウブな新米講師だった私は、18歳の生徒T部くんから男性心理をいろいろ学びました。
T部くん曰く、「俺は結婚せずにギリギリまで遊んでから、焦り始めた女を捕まえて結婚する」
なぜか後日、この通りに今の夫に捕まり、意にそまない結婚をしたのが私です。クリスマスケーキ(25歳過ぎた売れ残り)だった当時の私にとって、相手が誰かは二の次。
最悪なのは、同僚だった夫がT部くんみたいなイケメンじゃなかったこと!
ところが近年は、社会通念が変わりました。「子どもが欲しいために結婚するような男性と、人生を共にしたくはない」という生き方が、今や王道になりつつあるよう。こうした投稿↓が認められて、多数の賛同コメントがついています。
子どもが欲しくもないのに、夫や親戚一同の意向に抗えずに子どもを持った私は、コソコソと隠れるしかありません。
けど、女性が欲しいものをはっきり表明できる今の世の中は、良くなっているとは思います。
ただそれは、昔でもできなくはなかったこと。私の友人Rちゃんは、お見合いで婚約まで進んだお相手と「婚約解消したい」と。理由は、「恋愛して結婚したい」。当時は恋愛結婚とお見合いが半々の時代でした。お見合いで条件+αを望むのは一般的ではなかったし、彼女の実家は封建的。にもかかわらず、「よく言ったなぁ」と驚きました。
単に、私に自己主張する強さがなかっただけの話かも。結局Rちゃんは、お見合いでイケメンエリートと出会い、ラブラブで結婚してずっと幸せです。
それでも今の世の中であれば、私のように優柔不断な女性でも「結婚したくはない」「子どもは欲しくない」と言いやすそうには見えます。未婚や子なし女性を「生産的でない」などと非難する人々の気持ちも、無理をした私にはわかるのです。だから余計に、子なしがいいか悪いかなんて、判断がつかないんですね。
ただ一つわかるのは、「どんな人生にも意味はあるんだ」ということ。
人間心理は、最終的には「これでよかったんだ」と思うようにできているらしいです↓。Inner peace and acceptance が、臨終時に行き着く境地。
生死の境を知り尽くしたParamedic(救急救命士)である彼のトークの中で、とある50代女性の交通事故による最期を看取った時のエピソード。「私の人生、これでよかったの?」に答えて、彼は言いました。「医学部生である2人の息子さんは、あなたがいなかったらその道に進んでいなかった。あなたの人生には意味があります」。これを聴き、女性は安らかに最期を迎えました。
このエピソードで刺さったのは、「その道に進んでいなかった」の部分。意味があるのは「産んだこと」よりも、「適性を見ながら世の中に貢献する道に導いたこと」。母親でなくとも担いうる重責です。
よく受賞インタビューなどで、「先生(先輩・上司etc.)のあの一言で」といった奮起の経緯が話されているのを聞きませんか? 必ずしも子を産まなくても、誰にでも意味ある人生の可能性はありますよね。
例えば、上記TedTalkのフルバージョンを2014年に聴いた頃の私は、英語の勉強に夢中でした。結局英語のスペシャリストにはなってないので、一見意味はないよう。
ですが、亡くなった女性・息子さんたち・救急救命士・事故に関わった全ての人にとって、意味なくはないでしょう。10年後でもこのトークを大切に、「人生には意味がある」とあなたに伝えられたから……。