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アートのNYで考えた「人生、常に浪人」

「生まれた時から間違い」とは、とあるスピリチュアル系YouTubeで誰かがコメントしていた一言。「よくぞ私の心情をズバリ書き表してくれた」と、グッと目を惹かれました。

私と同様「同じだ〜」と思ったかた以外は、以下お読みにならないほうがいいかも。(意味がわからないかも)

受験の浪人どころか、志望校も自分で決める自由がなかった私ことmint。髪型も洋服も、自分で選ぶことは許されない環境の生まれ。

ニューヨークでTOEFL準備コースを受講した折、N子ちゃんという美大卒のクラスメイトと親しくなりました。

他に日本人がいなかったから……という以上に、クリエイティブ志望同士で気が合って。ファッションもキュートなN子ちゃんは、日本で「東京藝大日本画科を3浪させてもらえなかった」恨みを繰り返し語りました。

音大受験すらさせてもらえなかったmintにしたら、藝大2浪も有名私立美大卒も豪華の極み。びっくりすぎて何もコメントできず、ただ彼女の愚痴にうなずくばかり。

その割に、N子ちゃんはアートに貪欲には見えませんでした。例えば画廊のウインドウに気に入った絵をみつけても、入ろうとしないのです。「どんな人の絵なのか、入って訊いてみようよ!」と誘っても、尻込みするほど。

mintはさっさと入っていって、若い女性スタッフと話してみました。すると「あの絵の彼は今日は来ないけど、インスタのアカウントを教えてあげる。メッセージしたら喜ぶわよ」と、にこやかに答えてくれました。

側に来たN子ちゃんがiPhoneを開いたのを見て、またびっくり。表示が日本語! しかも、当時写真メディアとして人気が出始めていたインスタを持ってないと……。(インスタはビジュアル・アーティストの名刺代わりと言われていた)

「クリエイターや画廊と交流とか、NYで何かするつもりはないの??」と、不思議でした。案の定、N子ちゃんは程なくご家庭の都合であっさり日本に帰国。いつしか連絡も途絶えました。

ところが昨日、「mintの認識のほうが間違っていたのでは……」という記事を読んだのです。

要旨は……藝大合格者が出たことのない地方の美大予備校から、東京に転居しての3浪目合格女性の奮闘記です。競争率30倍の壁は「人にお伺いを立てるような作品だったから不合格だった」――との述懐が、心に沁みました。

普通の大学を出たmintは、芸術系受験の現実を知らなすぎたようです。勉強が大嫌いなのに難関大受験を強要された身には、芸術系なんて遊んでるだけにしか見えなくて……。

だけどこの記事では、求める表現と要求される水準に真摯に対峙する姿がリアルで……。「私はこの女性ほど真剣に何かを求めたことがあっただろうか」と、我が身を振り返りました。

必死に挑んだ一発勝負の受験に失敗した現役生には、覚えがあると思うんだけど……。何をするにもまず「頑張ってもどうせダメだろう」と思うクセが抜けません。よって、熱意も「そこそこ」になりがち。

浪人すれば、違うのかもしれませんね。

もちろん、浪人する贅沢が許されなかったからこその利点はあります。時間制限に強く、チャンスに敏感。「有利な環境の人に負けたくない!」のパワーはバカにならないし。

ここNYでも、北海道大学受験の一発勝負に敗れ、働きながら私大の夜間部卒業から見事CUNY(ニューヨーク市立大学)ハンターカレッジの大学院に合格した女性に会いました。卒業後は修士の学歴を生かし、日本の職場での英語講師のポジションが決まっているそうです。

ただしリベンジパワーは、着火装置にすぎないとも感じます。本当の情熱とは別な気がしますね。

何にしろ、N子ちゃんには申し訳ないことをしました。身の上話は熱心に聞いたつもりだったけど、どこか上の空だったかも。mintは今でいうA判定が出ていた志望大学を軒並み落ちたこともあり、浪人にも芸術系にも妬みの感情が無意識にあったからでしょうか。

mintのリクエストで、N子ちゃんがサラッと目の前のデスクをレシートの裏に描いてくれたデッサンには、忘れられない繊細な雰囲気が……。なのに、3浪できなかった彼女の悔しさに気づこうともしなかった、バイアス漬けの自分……。「音楽の仕事も楽しいばかりではない」と知った今なら、もっといい関係が築けたかもしれません。

いい関係といえば、先週久々に会った音楽仲間のキャロルとも、これまでとは違う「想像していなかった」関係を繋げそうです。「実は……」という、結婚にまつわる身の上話を初めて聞いて……。 

受験と結婚は違うとはいえ、女性には夫次第で人生決まる側面があるので、似ているかも。キャロルは名門ジョンズホプキンス大学音楽科を卒業後、ストレートに今みたいなバイオリニストのお仕事に恵まれ続けてきたと思っていました。それは誤解で、「結婚によるジェットコースター史」だったそう。

こうしてみると人間、受験環境に恵まれたからって、その後がすんなり行くとは限りませんね。(キャロルと再会したハロウィンの日の動画をアップしました↓)

上記浪人シリーズには、19浪の強者も。してみると人生、常に浪人のつもりでやってみるのも一案かもしれません。たとえ「生まれた時から間違い」だとしても、「挽回のチャンスは毎年ある」とすれば……。

ハロウィンの朝のTVモーニングショーでは、大好きなジェイソン・デルーロさんがライブ出演。ハロウィンメッセージとともに、新曲を披露なさいました↓。大ヒットの後も断続的にヒットを出し続けておられる秘訣は「新たなるヒットを目指して曲作りを休まない毎日」と、いつだかラジオで話されていたのが印象的。ヒット曲浪人?

「”君こそが僕をハッピーにしてくれる唯一の人“と気づかされてばかり」と歌われる歌詞。mintも「君」を「音楽」に置き換えて、ジェイソンさんを見習いたいです。

最後に、聴くたびにたまらなくハッピーにしてくれる、ジェイソンさんのこのスタンダードを貼りますね。コーラスが痺れる!

冒頭の写真はキャロルと会ったトライベッカのカフェのハロウィン・ディスプレイ。遅れましたが「ハッピー・ハロウィン!」