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「楽しさ」は努力に勝る
偏差値社会では「頭のいい人は、いい大学に行って、いい仕事を見つける」「そして人よりも経済的に恵まれた生活を送る」というのが、暗黙のお約束になっています。
彼らにとって、努力は「目先の待遇や豊かさ」のためのものです。
『東京一極集中』もこの延長線上で考えると分かりやすいですね。東京には「目に見える、体験できる、味わえる」楽しさや便利、豊かさがたくさんあります。
『楽しさは努力に勝る』
これは、ワークショップの学生コーチから聞いた言葉です。
「子どものやる気を引き出すコツ」なのだそうです。
子どもには、努力を強いるのではなく、まずは楽しさをたっぷり味合わせる。そうすれば、その子は楽しみのために自分から努力をはじめる。
なるほど。偏差値社会のゴールが「物質的な豊かさ」だとすれば、その一方で「楽しさ」がゴールになっている世界と人々もいるわけですね。
本来、子どもは「そっちの存在」なんですね。日本全体を考えたら、大人も含めて後者の方が多いかもしれません。
超難関校狙いの学習塾は、「上昇志向や競争心で煽る」メカニズムになっているので、小学生の部からすでにかなりギスギスしているみたいです。
私たちのワークショップに通う子どもは「クズ回答」と言ってテストを返されたそうです(自信喪失 →退塾 →元気が出ない)。
さてさて周りを見ると、SDG’sの大合唱が続いている中で、今度は『ウェルビーイング』(Well-being、地域幸福度)だそうです。
実は、そんなことは言われなくてもやっている人はいろんなところにいます。ただ社会では偏差値族が顔をきかせているので、よく見えないだけです。
国は「施策化して→計数的なプロセス目標をつけて→地方に広める」なんてことをやるようですが、それよりもまず「幸せ志向で暮らしている人たちをしっかり応援してあげる」ことを大切にしてもらいたいですね。
ウェルビーイングをマクロテーマの落とし込みで広げるのではなく、
今既にある多様で素敵なライフスタイル(価値観)をフォーカスしながら、
日本社会の空気を入れ替えてほしいと思います。
「右へ倣え」の幸せ志向は、共通基準を設定して全体水準を引き上げる手法と同源の発想で、「多様な幸せをリスペクトする」ウェルビーイングが本来目指すものとは本質的に異なります。そして、
幸せ志向で暮らしている人たちに共通のもの。それは「楽しむための努力」です。