Netflixオリジナル 『Followers』 散りばめられた言葉がゆるやかに、そしてジワジワと
Followers(フォロワーズ)
監督:蜷川実花 2020年 日本のドラマ( Netflix )
蜷川さんの「色彩」が好きで、絶対観たかった作品。
主人公が写真家という設定なので、写真好きな私としてはハマるの必至。
中谷美紀さん演じる奈良リミがとてもヨイ。
自分に正直で、でもちゃんと社会性も備えていて、柔らかに見えて強い芯がある。そして、どこまでもナチュラル。
「自分もこうありたい」と思わせる女性像。
もうひとり、がっつり好きになったのが夏木マリさんが演じた田嶌エリコ。
これがまためちゃくちゃカッコイイのだ。
実業家として成功していることはもちろん、柔軟な考え方と行動力。ポジティブ。親子ほどの年の差のある男性を愛するパワーもすごいし、見ていてスカッとする。
こちらは「自分もこうなりたい」と思わせる。
そして、年齢を経るごとに、おしゃれへの興味が薄れ気味な私としてはエリコの言葉に襟を正す。
「ファッションは鎧なの」「人って初対面で外見で判断するでしょ」「こういう人ですよって一瞬でプレゼンテーションできる有効な自己表現の一つなの」
こういう風に見せたいという「自己表現」をサボってはダメね。反省。
そしてこの言葉。
「汝の道を進め、そして人々をして語るに委せよ」
この物語を串刺しに貫くダンテの名言。
それを実行してきた(今もしている)女たちの物語と言える。
一方で、これから道を切り開き、この名言を胸に刻んで生きていく女優志望の女子が池田エライザさん演じる百田なつめ。
うまくいかないことへのモヤモヤや絶望の中、突然のチャンス到来。
そして認められて舞い上がり、承認欲求の沼にはまり、大きな傷を負う。
傷から逃げようとするなつめに、なつめに恋をする女子サニーの真っ当すぎる言葉。
「ちゃんと自分の悲しさと向き合いなよ」「傷ついたときにしか感じられないことがあるじゃん」「それと向き合わないとかありえないでしょう」
第5話のこのセリフを聞いて、ちょっと心が痛くなった。自力で立ち上がるには時間がかかる。逃げないことのしんどさを考えると更に辛くなる。自分に置き換えて考えてみて、逃げたことはないかと問われれば、答えは「No」だから。
話を戻すと、やりたいことがありながらも、どうして良いかがわからず流されるなつめだが、物語の後半には殻を破って突き進む。
もしかすると、再び転んで傷を負うことがあるかもしれない。いやあると思う。
でも、「汝の道を進め、そして人々をして語るに委せよ」なのだ。
自分の欲望のままに。
ところで、ドラマの前半。
リミが写真家として成功するまでの道のりがモノクロ映像で描かれるのだが、第2話で、私もかつて愛用していた「CONTAX Aria」が登場!リミがAriaでバシバシ撮影をするシーンに釘付けになると同時に、思わず「おっ〜」と喜びの声をあげてしまった。
この回想シーンを観て、自分が写真を始めた時代にプレイバック。
そのころフォトグラファーは圧倒的に男性が多く、若い女性の間で写真を撮ることが広まり始めると「女の子写真」といった言葉で区別された。私は当時会社員をしながら写真学校に通っていたけど、学校でも(教える方も教わる方も)自分たちの価値観や感覚から離れた、女性が撮る新しい映像を「本物」とは認めたくないような空気があった。
「写真新世紀」は当時あこがれのコンテストで、蜷川さんの作品が賞をとった時のときめきを思い出す。まず、「これスキ!」となり、同時に「ああ、これでいいんだ」と思った。
私もこのコンテストに応募したことはあったけど、審査員からコメントがつくのが精一杯。それでも、作品を作るのが楽しくて。
今も撮るのが楽しい。たまに写真のお仕事もあり、ファインダーをのぞいていると夢中になる。デジタルカメラ初期に一時期撮らない時期もあったけど、写真をずっと続けてきてよかったと思っている。
ファインダーを通してみる世界が、物語が好き。
数十年たって、結局ここに戻ってきている。
ところで、ゆる子役の金子ノブアキさんが、「恋つづ」の上白石萌音さんに見えてしかたなかった。似てると思う。。のは私だけかしら?
写真:ガーベラ
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