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スーパーマリオカートで「ギブアップ」
ファミコン世代の皆さんの殆どが、人の親となっている時代がもう来ちゃいましたね。
小学生・中学生の頃、ファミコンソフトで遊んだ思い出は、大人になってもそうそう色褪ないと思います。
その思い出を基に、お子様にもゲームを買い与えたりしてますか?
私にはまだ子は居ませんが、そうしたゲームを遊ぶ機会は今でもあります。
新型コロナウィルスが流行する前は、海外からやって来るゲームマニアと、スーパーファミコンソフトを一緒にプレイとかしてました。
もちろん、同じ日本人の自分より若い方々とゲームボーイで遊ぶ事もありました。
そういったエピソードの中で、今回取り上げるのは、ツマ氏と【スーパーマリオカート】で遊んだ時のものです。
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【レースゲームをやってみたい】
ツマ氏は、家庭用コンシューマー機に限れば、完全なゲーム初心者でした。
思考停止でスマホ画面をポチポチ押すだけの、暇人向けソシャゲは定期的にやっている様子が窺えました。
MMORPGも少しかじった事がある、と、本人は言っておりました。
そんなツマ氏がですね、暇だったんですよ。
本当は暇なはずがないんですけど、本人の中では超絶暇だったらしいんですよ。
この人が感じる「暇」の陰で、私は常に犠牲になる運命なのです。
ツマ:「レースゲーム、やってみたいんでしゅ。」
なんか言い始めやがりました。
ツマ氏は車の免許持ってないし、自転車にも乗れないし、泳げもしません。
だからレースゲームは向いてない、とは言いませんが、車に対する興味は全く無いのが明白なんです。
となると、車体を改造してどうのこうの...みたいなレースゲームは、最初は避けた方が無難ですよね。
車に興味の無い初心者でも軽い気持ちで楽しめるレースゲームといえば、やはりマリオカートでしょう!!
![](https://assets.st-note.com/img/1661770421932-dpFca02xyZ.png?width=1200)
【圧倒的な差】
というわけで、手元にあったスーパーマリオカートにて一緒に遊ぶ事にした私とツマ氏。
ツマ:「これ、操作はどうしゅればいいんでしゅか?」
ユウ:「Bボタンがアクセルになっていて、Aボタンでアイテムを...」
ツマ:「Aボタン?Bボタン?赤と黄色でしゅか?」
ユウ:「あ...あぁ...そうそう、赤がAで、黄色がBで...」
ユウ。o(そこから説明しなければならんのか)
ユウ:「Yが緑でブレーキでXが青で...」
ツマ:「むう...よくわかりましぇん。」
ユウ:「....じゃあ、やめようか。他の事しよう。」
ツマ:「とりあえず、やってみたいでしゅ。やったらわかるかも。」
「習うより慣れよ」という言葉がありますし、ツマ氏がせっかくやる気になっているので、細かい事は置いといて、プレイスタートしてみる事に。
ツマ氏はマリオを選択。
自分はルイージ。
...プッ...
...プッ...
...プッ...
...ピーン!!
シグナルが赤から緑に変わり、各車一斉にスタート!!
...微動だにしない車が1台。
ツマ:「あ、あ、これ、動きましぇん!」
ユウ:「Bボタンがアクセルなのでぇ~」
ツマ:「青いボタン押せばいいでしゅか?」
ユウ:「だからBボタンは黄色なのでぇ~」
ツマ:「さっきから押してるのに動きましぇん!」
ユウ:「・・・・」
ツマ:「・・・・」
コントローラーを投げ捨てたツマ氏。
それを拾って、黄色いBボタンを押してあげた。
前進し始めるマリオ。
ツマ:「は?なんで私の時だけ動かないの!?」
ユウ:「動きますので、Bボタンを押していただいてぇ~」
こうしている間すらも、足の指を使ってルイージの動きを止めなかったユウは、あっさり1位でフィニッシュした。
ツマ氏の苦闘は続く。
![](https://assets.st-note.com/img/1661788604595-DUn2ZhXmKa.png?width=1200)
【このマリオはきっと泥酔してる】
ツマ:「曲がるの難しいでしゅ。」
ユウ:「でも意外と上手く曲がれてるよ。」
ツマ:「壁にぶちゅかりまくりでしゅ。」
ユウ:「それはBボタン押しっぱなしだからでは?」
ツマ:「どうすれば上手く曲がれましゅか?」
ユウ:「ブレーキを使ったり、ジャンプしながら十字キー押して空中で向きを変えたり(ドリフトについての説明は省略)。」
ツマ:「ブレーキは青のボタンでしゅか?」
ユウ:「Yだから緑のはず。」
ツマ:「緑押しました。止まりました。」
ユウ:「うん、止まるよね。ブレーキだからね。」
ツマ:「・・・・」
ユウ:「・・・・」
ツマ:「ジャンプはどれでしゅか?」
ユウ:「LとかRとか。」
ツマ:「あ、ジャンプできました。」
ユウ:「うん、できたね。」
ツマ:「でも、前に進みましぇん。」
ユウ:「そりゃ、アクセルボタン押してないからね。」
ツマ:「・・・・」
ユウ:「・・・・」
プレイヤーのツマ氏が理解できたのかどうか不明ではあるが、マリオは再び前進を始めた。
壁やら何やらにぶつかりながらではあるけれども、なんとかコーナーを曲がったマリオは、とてもナチュラルに逆走していた。
ユウ:「ツマさん、コースを逆走していますよ。」
ツマ:「え!?反対でしゅか?」
ユウ:「そう、今走っているのとは逆方向がゴール。」
ツマ:「じゃあ、向きを変えましゅ。」
そう言ったツマ氏のマリオは、路面を外れ、土埃を上げながら、コース外へと突き進んで行った。
もはや、Aボタンでアイテムが使えるという点は、(今教えても無駄かつ混乱を招くため)触れてはいけない領域となっていた。
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【水溜りマニア】
既にゴール済みのドライバーが、無駄に路面を走るのを尻目に、マリオはコースをどんどん外れて行った。
そこから曲がってコースに復帰するでもなく、いったん止まって位置を確認するでもなく、マリオはひたすら謎の方向に直進した。
その先には、車1台ぶんの水溜りがあった。
ユウは、いくら初心者でも水に突っ込みはしないだろうと静観していた。
車の知識が全く無いとしてもだ、水に濡れて良い事が起きるわけがないのはわかるだろう、と。
だが
マリオは
水の中に
消えた。
ツマ:「え?なんか消えました。」
ユウ:「水没したねえ。」
ツマ:「水に落ちるんでしゅか?」
ユウ:「そうだねえ(棒)。」
ツマ:「落ちたらどうなるでしゅか?」
ユウ:「今、画面でそれが起きているヨ。」
ツマ:「なんかハゲが出て来てましゅね。」
ユウ:「ハゲ?ジュゲムの事?」
ツマ:「このハゲ、何をしていましゅか?」
ユウ:「あなたのマリオさんを水から釣り上げてくれてます。」
ツマ:「そうなるとどうなりましゅか?」
ユウ:「プレイ続行できます。」
ツマ:「ペナルティはありましゅか?」
ユウ:「この時間がタイムロスとなっておりますが、もはや関係無いですね。」
ドボォン!!
ツマ:「あ。」
ユウ:「あ。」
喋っている最中に、ツマ氏はマリオを再び水溜りの中にぶち込んだ。
ツマ:「またハゲが出て来ましたね。」
ユウ:「それがお仕事なのですよ。」
ツマ:「このハゲ初めて見ましゅ。」
ユウ:「いえ、スタートの時も居ましたよ。」
ツマ:「え?どこに?」
ユウ:「スタートシグナルを吊り下げて、画面左上に居ました。」
ツマ:「はぁ、こんなハゲ居たかなぁ...」
ドボォン!!
3度目の、ハゲ召喚の儀式を行うツマ氏。
ジュゲムさんの事をハゲ呼ばわりする人、ツマ氏ぐらいではなかろうか。
ユウ:「そろそろコースに復帰しませんか?」
ツマ:「なんか、動かそうとしたら水に落ちましゅ。」
ユウ:「最初に向きを変え...」
ドボォン!!
ユウ:「・・・・」
ツマ:「ハゲwww こいちゅ、仕事しましゅね。」
ユウ:「え、ええ...。」
ドボォン!!
ユウ:「・・・・」
ドボォン!!
ドボォン!!
ドボォン!!
ツマ:「ユウしゃん...」
ユウ:「はい。」
ツマ:「どうしても水に入ってしまいましゅ。」
ユウ:「・・・・」
ツマ:「どうしたらいいでしゅか?」
ユウ:「まず向きを変えてみてはいかがでしょう?」
ドボォン!!
ユウ:「よくそんなに、1台ぶんの大きさしかない水溜りにピンポイントで何度も落とせますね。」
ツマ:「早くここから出たいんでしゅ...(>Д<)」
ドボォン!!
ドボォン!!
ドボォン!!
ユウ:「・・・・」
ツマ:(´・ω・`)
ユウ:「・・・・」
ツマ:( ´_ゝ`)
ユウ:「・・・・」
ツマ:(ノД`)・゜・。
ドボォン!!
ドボォン!!
ドボォン!!
ユウ:zzzzzZZZ
ツマ:「ユウしゃん。」
ユウ:「ふぁ!?ふぁい?」
ツマ:「ギブアップ」
ユウ:「あ、お疲れ様でした。」
こうして、ツマ氏の初めてのマリオカートは幕を閉じた。
この後、数ヶ月の間、ゲームの話になった時に、「マリオカートは」と言うと、ツマ氏は露骨に嫌な顔をするようになった。
そんなツマ氏であったが、家庭用コンシューマー機に触れた事で、それ以前よりゲームに対する興味が強くなったようだ。
ツマ氏には、次のステージが待っている。
この時はツマ氏に虐待されたマリオさんだったが、本来の力を発揮し、名誉挽回する機会が訪れる。
それはまた別の話...
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