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【掌編小説#16】僕はこの物語を知っている
僕はこの物語を知っている。
僕が書き上げた物語だからだ。
誰よりも、この物語を知っている。
何度も読み返し、少しでも気になるところがあれば、
何度も何度も修正して、一言一言、細部まで丁寧に書き上げた。
表現は伝わるだろうか。
誰かを傷つけてないだろうか。
面白いだろうか。
完成させてからも何度も何度もこの物語を読む。
この物語は誰よりも僕が読んでいる。
…本当に僕の書いた物語か。
誰の物語だ?
以前どこかで読んだことがある。
誰が書いた物語なのか確かめたくて、ネットを彷徨う。
しかし見つからない。
確かに読んだことのある物語なのに、
どこで読んだのか思い出せない。
曖昧な記憶の中で、この物語は誰にも知られずに
僕と共に眠りにつくこと…だろう。
〈完〉
【解説という名の言い訳】
掌編小説16作目です。テーマは以前も書いた「創作」ですが、今回はまた少し違う角度、雰囲気で書いてみました。何度も読み返して、修正を繰り返すたびに、「あれ?なんか読んだことあるかも?」と感じることってありませんか?(笑)この記憶の現象に名前がありそうな気もします。最終的には「えいっ!」と覚悟を決めて投稿するんですけどね。
読んでくださった皆さんへ!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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『今日も「えいっ!」と投稿する者』
ミノキシジルでした。