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みんなのフォトギャラリーにアップした私の写真を使った記事をまとめています。  街中スナップ派でございます。 思いがけない使い方をしていただいて、いろいろ刺激になります。
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2022年2月の記事一覧

雑踏のおじさんは何が通常の3倍だったのか

梅田の雑踏を歩いた。 通勤ラッシュ時間帯の、阪急電車の大阪梅田駅からJR北新地に続く地下通路。 久々の体験で、今もこんなたくさんの人が歩いてるんだと驚いた。 特に御堂筋線いちばん南側の改札前の通路。 阪神、阪急、JRたくさんの線を利用する人が交錯しながら歩いている。 みなさんがみたことのある光景で言えば、渋谷のスクランブル交差点の地下版といった感じ。 できるだけ直線でこのカオスを突き抜けたい。 斜め前方から迫ってくるたくさんの人の、角度と速度を計算する。 直線のコースは変

慢心創痍に御用心

昨日の職務中、久々に死の恐怖を感じた。 重量約100kgの台車に突き飛ばされて、左足が台車に引っかかったまま、身体と右足は1mほど落下してしまったのだ。 さらに、一歩間違えていたら「その台車が上から降ってきて、あわや下敷き」とも、なりうる状況。 「死の直前の比類のない神々しいような瞬間、人間の頭の飛躍には限界がなくなる」 と、かの推理作家エラリイ・クイーンは表現していたけれども、あながち間違いではなかろうと思う。 たしかに私はその瞬間、置かれている状況を冷静に理解し

救急車のサイレンとエレベーターの「閉」ボタン

今日のついさっき、本屋さんからの帰り道、信号が変わるのを待っていて、もうすぐ青になりそうだなって頃に、救急車のサイレンが聞こえ始めた。どうやら、わたしが今渡ろうとした交差点を通るらしい。救急車の姿が見えた私はそう思ったので、わたしはその場に留まることを選んだ。きっとみんなそうするだろうと思っていた。でも、わたしと同じように信号の色が変わることを待っていた人のほとんどが、信号が変わった時に進むことを選んだ。誰か一人が進んだから、進んだのかもしれない。列の先頭にいて、自分が進まな

140字小説「今日も無人駅で」

廃線で忘れられた駅を訪れる少年がいます。 彼は無人の駅舎で、線路で、バイオリンを弾くのです。 演奏の間、駅はきらきらとした輝きに包まれます。 そうして幸せな記憶と忘れ去られた寂しさを放出した駅は、穏やかな眠りにつくのです。 きっと今日もどこかで優しい鎮魂歌が鳴り響いていることでしょう。