新型コロナウイルスで「リモート出勤」の弱点が見えた
マイクロ人事部長の髙橋実です。
さて、なかなか収束が見えない新型コロナウイルスの対応で、人事の皆さんは大変な状況だと思います。でも、全世界の誰しもが未曽有の経験をしている中で「辛い」と考え嘆くか、「このタイミングはチャンス」と捉えて、新しいこれから先に繋がるチャレンジを行っていくかで、大きく差がついてくる。僕は宗教的思考はないですが、大袈裟に言えば今回のこの出来事は「人類がこれから先に真剣に考えるべきテーマ」が浮き彫りになってきているような気がします。
リモートワークでコミュニケーションレベルが落ちる
僕が今やっている「マイクロ人事部長」という仕事のスタイルは、
「週1日出勤で、それ以外はリモートワークを活用し、フルタイム勤務と同様のパフォーマンスを出す」
というものです。
元々始めたときには「出勤義務なし(必要都度出勤はする)」というモデルでやっていました。でも、「今の日本ではリアルに出勤をしないというスタイルは受け入れられない(失敗しました)」ということが分かり、2018年6月から、このスタイルで行っています(何故出勤義務なしがダメなのか?ということについては、また改めてNoteで書きますね)。
現在5社でこのスタイルで人事責任者をやっています。
そのうち2社が福岡本社の会社で、1社で今回の新コロナウイルスのため「社員の出張禁止」が発令されました。そのため、東京から出勤している僕も、自動的に「逆出張」が禁止され、フルリモートで対応することになりました。
ただ、明らかにコミュニケーションレベルが落ちたのです。
この1社は、既に2年弱マイクロ人事部長をしており、これまで採用立て直しや人事部門の立ち上げ、人事メンバーの育成、人事制度設計(社員・アルバイトの再設計から就業規則作成まで)、幹部メンバー育成など、幅広くやってきているので相当コミュニケーションレベルが高まっているはずでした。
でも、うまくいかない。
マイクロ人事部長ですら「週1出勤」に頼っていた
正直ショックでした。
いきなり、現場の様子が見えなくなってしまいました。
この間まで週1出勤している時には、リモートワークと併せて十分コミュニケーションが取れていたと思っていたのに。
メンバーに「時間空けるのでいつでもSkypeやZoomでも電話でもいいので報告や相談して」と言っていても、一向に連絡はこない。こちらからの投げかけに関しても、圧倒的にコミュニケーションの頻度が落ちました。
これはどういうことだろう。
そして、ふと気づきました。
僕自身が、コミュニケーションをリアルな週1出勤時に頼っていた
ということに。
振り返ると確かにそうです。
リモートで仕事を進めていて、どうもコミュニケーションが取れないことについて「リアル出勤の時に整理しちゃおう」と、リアル出勤を頼っていたのです。
非対面コミュニケーションを円滑にいかせるためには、
相互のコミュニケーションスキルが相当高い状態(どちらかではダメ)
というのがあるのですが、
僕の敗因は、
メンバーの非対面コミュニケーションスキル育成を怠っていた
ということなんだろうと思います。
これまでうまくいっていたのは「メンバーの非対面コミュニケーションスキルが弱くても、僕自身がリアルコミュニケーションでカバーしていた」ということ。
つまり、「僕がメンバーの上司コミュニケーション育成を怠っていた」という、「僕自身が週1出勤という”リアルコミュニケーション”を頼っていた」ことなんだと。
今僕は自分から電話をかけるのを、ほぼしない働き方になっています。対面でのコミュニケーションは「時間と場所」を、電話でのコミュニケーションは「時間」を、それぞれ相手と共有しなければいけない。
僕の働き方は、「24時間をパズルして組み立てる」ものなので
「週1出勤しなくともできるマイクロ人事部長」へ
まあ誰しもが、こんな状況になることを想定していないわけですが、でも、先行きの収束が見えない状況下では、最悪な状況になった時でも動かせる状態にしないといけないわけです。そうしないと、いつまでもパフォーマンスが出せない、ということになる。
そのため、早速以下の取組をすることにしました。
①マイクロ人事部長の"進め方のメソッド化"
②ステークホルダーの”リモートワークスキル育成”
③チームビルディングの”メソッド化”
①マイクロ人事部長の”進め方のメソッド化”
じつはこの話は、そもそも新コロナウイルスの話がなくとも、進めようと思っていたことでした。現在は僕自身がやっている「マイクロ人事部長」の最大の目的は、このソリューションは「プロフェッショナル人事が複数の企業で携わることでパフォーマンス発揮スピードを上げる」というものです。
つまり「僕でなくともできる」ことが重要。
そのためには、メソッド化して、マイクロ人事部長ができる人を創り上げていくことが必要になると考えていました。そうしないと、たくさんの戦略人事を考える人事責任者がいない企業が困ってしまう状況は変わらない。
じつは、企業で問題が発生するパターンは、おおよそ決まっています。
事業パターン × 経営パターン × 組織パターン
この3つの要素がどうなっているかで、決まるのです。
この詳細については、また別途Noteでお伝えしていきたいと思います。
②ステークホルダーの”リモートワークスキル”育成
非対面でのリモートワークを実現する一番初めのポイントは、
「非対面コミュニケーションスキルが相互に一定レベルあること」
です。
もっとシンプルに言うと、
「文字コミュニケーションで自分の意思を相手に伝えられ、文字で、相手の真意を汲み取れる」
というものです。
「いやいや文字コミュニケーションでなくとも、SkypeやZoomなどのテレビ通話でできるじゃないか」
という方もいるかもしれません。
もちろん一定レベルできるのですが、
●テレビ通話は、コミュニケーションの遠さを感じる場合がある
(慣れていない人は、なかなかその一歩目が踏み出せず、躊躇する)
⇒リアルには「打ち合わせしましょう」とセットできるけれど、テレビ通話になれていない人は、なかなかテレビ会議をセットできない(なので、スピード感が出ない)。
●文字コミュニケーションで意思の疎通ができる相手とやると、早い
(逆に一方が文字コミュニケーションに慣れていないと、スピードが鈍る)
⇒「リアルよりコミュニケーション回数を少なくする(何往復で仕事が進むか)」を意識することがポイント。それができないと「会って話した方が早い」となる。お互いのコミュニケーションの精度を上げないと、辛くなる。
一定の条件を満たせば、格段にリモートワークのパフォーマンスが上がります。そのためには、みんな慣れないとですね。
今僕は、「まずZoomやってみよう」と、育成にシフトしています。
③チームビルディングの”メソッド化”
これはまだ未曽有の領域です。
でも「チームビルディング」って、対面でやらなければ難しい。そんな論調がほとんどだと思います。上司と部下のコミュニケーションもそう。
でも、100%は難しくとも、非対面を活用した育成はできるはず。その領域にチャレンジするためには、「まずはトライしてみること」が大事なのではないかと思います。
そのためにはまず「一定のメソッドを持って、お互いのルールを共有する」ことが大事なのではと考えています。
(先日、1社でこれをトライしてみました。まだ結果はこれからですが、感触はいいので、またNoteで結果報告したいと思います)
有事だからこそ、改革のチャンス
新型コロナウイルスは、まだまだ収束が見えません。寧ろ世界的には当面非常に厳しい状況が続きそうです。
でも、寧ろこの時を、うまく使ってチャンスにすることは、できるはず。
今は「胸を張ってリモートワークができる」タイミングだし、採用においては「(ご法度とされていた)SkypeやZoomによる説明会・面接」が始まったし、濃厚接触を避けるために「(顔を見て話せという上司に嫌がられずに)社内をテレビ(リモート)会議にできる」。
新たな枠組みにチャレンジするためには、一定のトライ(試行期間)は絶対に必要です。このタイミングを、どう過ごすのか。やる人と、やらない人では、大きく差が出てくることになるのではないでしょうか。
「100人にメソッドを伝えても、実行に移す人は1人」
これが、僕がこれまでセミナーや講演で、肌感覚としての割合です。
これから世界的不況が起こるかもしれません。パンデミックが続いて、この状況が当面続いてしまうかもしれない。今、チャレンジすることは、必ず未来に繋がる。僕はそう信じて、トライし続けようと思います。
●ご質問・ご相談などはこちらから