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評価調整会議(相対評価)
2025年、本年もどうぞよろしくお願いします。
ここ2年ほど、本業のマイクロ人事部長がめちゃめちゃ多忙で、情報発信をさぼっておりました。ごめんなさい。
今年は少し力を入れて、情報発信していきたいと思ってます。
みなさまどうぞよろしくお願いいたします。
さて、今日は「人事評価」、その中でも特にモヤモヤする「相対評価」を行
う「評価調整会議」の運用について書いてみたいと思います。
人事評価は、相対評価で決まる
ほとんどの会社では、人事評価は最後は相対評価で決まります。
なぜなら、個の社員の評価(絶対評価)がもちろん大事なのですが、企業では人件費は予算上総額のキャップがはめられており、最後はこの総額のぶん取り合戦になるので、その予算総額をうまく配分するために、全社ベースで引き直さなければならないからです。
これが、「相対評価」であり、そのぶん取り合戦のための「評価調整会議」が行われるのが一般的です。
でも、この評価調整会議の会議運営が難しい。
(この会議は、会社によって呼び方が異なります。「評定会議」とか「評価会議」とか「評価委員会」とか呼ばれるものです。)
評価調整会議で議論するべき内容
評価調整会議で議論されるべき内容は、以下のような内容です。
①全社ベースの予算配分が適切か(特に賞与配分や上級管理職の給与のようなインパクトの大きいもの)
②全社ベースで適切で公平感のある評価(絶対評価)になっているかどうか
③個の社員の成長が全社ベースに照らし合わせてうまくいっているかどうか(タレントマネジメント)
でも、じつは③までやっている企業は極めて少ないと思います。評価調整会議を開催しても、単に賞与分配や単年度の人件費総額のチェックに留まっている会社は多いのではないでしょうか。
評価調整会議の参加者
この評価調整会議に参加するべき人は、
●経営責任を取る立場の人
●事業全体の状況を俯瞰して見えていること
●自身のラインの状況だけでなく他部門の状況も把握していること
●に客観的視点に立ち、評価結果について自身の責任として自覚している人
こういう人であるべきです。
この参加者のマインドセットや選び方って、じつはとても難しい。
企業によっては、「社内で声の大きい人(事業運営の実権を握っている人」や「自部門の部下を最優先で考えてしまう人(役員が部門を兼務しているような場合にありがち)」を選んでしまい、結果相対評価が偏ってしまうというケースも結構見受けられます。
評価調整会議は「オープン」で「公正」を目指すべきだが
この評価調整会議は、相対評価というシビアな現実を経営判断としてできるかどうかにかかっていて、できるならオープンに行うべきものです。
そうしないと、社員から見ると「評価やってるとは言っても、結局最後はブラックボックスで決まる」となり、どんどん組織が白けていくからです。
(こういう企業は本当に多い)
本来は評価は「絶対評価」で決められるべきものですよね。一番近くで見てくれている上司が一番状況を理解してくれている。でも、時としてこの評価が全体のバランスを見て変わることもあるわけです。
ここには「組織の不都合な現実」があるわけで、場合によってはしっかりと説明できないケースも出てくるわけです。最後に評価結果が変わって、それを上司にフィードバックする時に、
「僕は君をしっかり評価したけど、上で変わった。知らんけど」
となってしまいがちですよね。
だからこそ、評価調整会議は、そのプロセスをできる限りオープンにして、会議参加メンバーは「いかに公正に近づけるか」という視点をもっていなければ、あっという間に社員の白けに繋がってしまう。そういう会議なのです。
<イケテナイ評価調整会議のケース>
イケテナイ評価調整会議のケースには、こんなものがあります。
●会議参加者が自分の部下を中心に考え、単なる予算ぶん取り合戦に陥る
→「うちのA君は頑張っている!」などの主観的意見が飛び交う
●会議参加者が現場状況を正しく把握できておらず、正しい意見が出せない
→一番現場が見えている参加者の言いなりになり、議論が進まない
●予算配分に重きを置きすぎ、個の評価を無視して評価をすり替えてしまう
→相対評価をしていったら人件費総額を計算してみたら予算オーバーしていて、総額調整して下げるマイナス視点の議論が横行する
●人件費総額ばかりに目がいき、個の成長視点が欠落した議論になる
→議論に疲れ果てて目の前の評価確定をするので精一杯
こういう議論を山ほど見てきました。
やれやれです。
評価会議参加者は、自身で腹を括らなければならない
自身で腹を括れていない評価調整会議の参加者が存在してしまうと、最後は「社長が決めるから」と言い放ち、自身より上の役職者に決断を放り投げてしまうケースもしばしば見受けられます。
(いやいや、社長が一番現場を見えてないんだから、逃げちゃダメでしょ)
僕は多くの企業の評価調整会議には出させてもらうようにしています。なぜなら、せっかくいい評価制度を作っても、最も大事ともいえるのがこの評価調整会議だからです。でも、その会議の中で正しいやり方を指南していると、いつのまにか「評価制度が悪い」と作った僕のせいにされることもしばしば。
相対評価を正しく円滑に進めるのには、経営陣・評価会議参加者の腹決めが全てだったりします。制度を活かすも殺すも人次第ということですね。
最後は、評価結果のフィードバックが最も大事
このような絶対評価と相対評価の狭間に常にあるのが評価制度です。
だからこそ大事になるのが、「評価結果のフィードバック内容を決める」ということです。こうした不都合な現実をいかに社員に受け入れてもらうようにするか。フィードバック次第で、優秀な社員のモチベーションが下がってしまい、離職に繋がるかもしれないからです。
僕は「相対評価で評価結果が変わった社員は、評価調整会議でフィードバックする内容までしっかり議論すべき」だと思っています。実際にこの評価結果のフィードバックは、絶対評価を行った身近の上司になるはずです。その上司にしっかり説明できる武器を用意してあげなければ、責任のある評価ができているとは言い難く、前述のような、
「僕は君をしっかり評価したけど、上で変わった。知らんけど」
というフィードバックになってしまい、組織の白けが進んでいくからです。
上司に対する「マネジメント研修」も大事
上司は、絶対評価をやるという役割のほかに、こうした「評価フィードバックを行う」役割も必要となります。これは非常に重要な役割です。そのためにも、「評価」についてマネジメント研修等でしっかりとインプットして、「うちの会社ではこのような評価プロセスをとっている」
「うちの会社ではこのような評価基準で決まっている」
ということを、しっかりとオープンにして理解をさせていくことも重要です。
時として厳しい評価を伝えなければならない。
これを行うためには、日々のマネジメントで上司がしっかりと部下からの信頼を得るマネジメントを行わせるということも大事です。
(時として理不尽にも思えることでも、信頼関係ができていれば理解を得られることもできるはずです。
日々のマネジメントから、評価まで。
全ては一連の流れがあるので、それがしっかりとできる組織にしていかねばなりませんね。
ではまた。
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