組織成長を促すSL理論:適切なリーダーシップの選択
はじめに
私が戦略立案やマネジメントの講演をする中で、「これは外せないな」という要素があります。それは「リーダーシップの使い分け」です。マネジメントにおいて、やはりリーダーシップの使い分けは欠かせない要素です。リーダーはPDCAサイクルに注力するだけではなく、中長期的な視点から組織の成長戦略を形成することが、組織の継続的な成功への鍵となります。この成長戦略において、学習と成長を促進するリーダーシップが中心的な役割を果たすと考えています。
現代の経営環境では、リーダーシップの質が組織の成否を大きく左右します。SL理論(Situational Leadership Theory)は、メンバー(私は、配下の方を”部下”という名詞ではなく、共に働く仲間という意味合いで”メンバー”という表現をしています)の成熟度や状況に応じたリーダーシップスタイルの柔軟な変更を提唱しています。私はこれを組織運営における効果的なアプローチとして位置づけています。
SL理論の基本概念
SL理論において、リーダーシップスタイルは以下の四つに大別されます。
指示型リーダーシップ:メンバーの自主性が低く、スキルも未熟な場合に適しています。リーダーは明確な指示と具体的な支援を提供し、タスクの正確な遂行を促します。
コーチ型リーダーシップ:自信を持ち始めたメンバーに対し、引き続き指導とサポートを提供しながら、より積極的な役割を期待します。
支援型リーダーシップ:業務で高い能力を示し、時に自信を欠くメンバーに対して、必要なサポートと励ましを提供します。
委任型リーダーシップ:完全に成熟し、高い自信と能力を持つメンバーに広範な自由と責任を委ねます。
効果的なリーダーシップの実践
メンバーの成長段階に応じたリーダーシップスタイルの適切な切り替えは、彼らの自立を促進し、組織の持続可能な成長に寄与します。リーダーはメンバーの自主性を尊重し、適切なサポートとフィードバックを通じて彼らを導くことが重要です。
メンバーの成長を支援するためには、リーダーの介入の度合いを適切に管理する必要があります。リーダーシップの核心は、指示を超えて、メンバーが自立して成長できる環境を整えることです。私の経験では、メンバーが「新たなスキルを習得しなければならない」と感じるレベルと「新たなスキルを習得するのは無理だと諦める」レベルの間にある境界線を見極めることが、効果的なリーダーシップにおいて非常に重要と考えています。
この境界線を見極め、メンバーが新たなスキルを習得したり、自己成長を自主的に行っていく状態を構築していくことが、効果的なリーダーシップには不可欠と思っています。