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やさしさのぐるぐる

イタリアに滞在していたときのこと。

滞在して約10日、思いの外自分でも気を張っていたようで、疲れてしまい一日中外に出ることが出来ずに部屋にいたことがあった。

同じく農家を手伝っているドイツ人のサラが、そんなわたしを心配して時々顔を見せにきてくれた。オレンジを持ってきてくれたり湯たんぽを持ってきてくれたり「具合はどう?」と声を掛けてくれる。

書いていると大したことのないように聞こえてしまうけれと、私にとっては、どうしてなのか、ひっくり返るように驚く出来事だった。
こんな風に心配されたことってきっとなかった。
出会ってすぐの私を心配してくれて、労ってくれるなんて。 
これはロンドンに着いてすぐ、同じ寮のフラットメイトの香港の女の子、シェリーとのやり取りでも感じたことなのだけれど、私だったら同じように人に優しくできるだろうか?

私はどうしても、人とある一定の距離を取っておきたいと考えてしまうことが多い。もしも反対の立場なら、まだ知り合って間もない友達が寝ていたらそっとしてあげようと思い訪ねることもしないし、声をかけることもしないと思う。

今までの私だったら。

自分の部屋は完璧にパーソナルスペースだし、私だけの部屋にしておきたい。友人であっても他人の部屋にノックしに行き時間を過ごすってことは苦手。だから安易に人を訪ねたりできないし、迷惑かなとか色々な考えが邪魔をして何もしない。

でもサラやシェリーはそういう概念を軽々と超え、私に触れてくる。そしてそれが思ったよりも嬉しくて心地いいのだ。

わからないけれど、人はしてもらったことは人にできるものだ、と思う。

この2人も きっと誰かに優しくしてもらったことがあるのだろう。

だから今日からの私はもらったやさしさを誰かに渡すことができると思う。

やさしさは巡ってゆく。

今日も、まだ知らない誰かから誰かへ。


その気持ちがすごく励みになります。ありがとうございます!