【交流分析の基礎知識④】A(大人)の自我状態の維持
参考資料「セラピューティックTA」ふくちみずほ著
A(大人)の自我状態のエネルギーを高め、維持するとエゴグラムが山型に近づき、人間関係がより円滑になります。
Aのエネルギーが高い人って、どんな人?
Aが高い人は一言で言えば「冷静さと客観性を備えた人」です。Aが高ければ、冷静さ・客観性にもとづき次のようなアクションを起こせます。
事実の分析。計画する。考える。気づく。
アイデアを練る。選択する。判断する。決定する。
「4W1H」で情報収集しましょう!
Aが高い人のストロークは「4W1H」になっています。「4W1H」とは、「5W1H」から”Why(なぜ?)”を除いた疑問詞です。
「4W1H」のストローク
When(いつでしょうか) Where(どこでしょうか)
Who(誰でしょうか) What(何でしょうか)
How(どれくらい、どんなふうでしょうか)
「ストローク」については「交流分析の基礎知識③ストロークとディスカウント」をご覧ください。
「なぜ?」と聞くと、責めていることになってしまう場合も。
相手に興味を持って「どうして?」「なぜなの?」と理由を尋ねるのは「プラスのストローク」です。しかし「なぜ?」という問いが相手を問い詰め、責める結果になってしまう場合、それは「ディスカウント」になります。「なぜ?」と問う(理由を尋ねる)ということは、「そこにいたるまでの筋道や道理を尋ねる」ということです。そうした問いは、使用場面によっては相手を責めるニュアンスを含んでしまいます。
たとえば学校で問題行動を起こした子どもに教師が「なぜそんなことをしたんだ?」と問うと、子どもは困ってしまうかもしれません。問題行動には「そこにいたるまでの心理」がつきものですが、「心理」などという複雑なものの道理をとっさに答えることができるでしょうか?それは大人でも答えるのが難しいかもしれません。答えられない問いを向けられると子どもは黙っているしかなくなり、結果的に「自分は相手に責められている」と感じてしまうことになります。
「なぜ?」の代わりに「4W1H」を使って質問しましょう。
「なぜ?」と問いたかったとしても、相手が理由を答えるのが難しそうならば、まずは「4W1H」を使いましょう。
先の問題行動の例でいえば、教師が
「それはいつのことだったの?」
「どこだったの?」
「ほかに誰かいたの?」
「何があったの?」
「どんなふうだった?」
などと質問すれば、子どもは答えることができるようになります。そうしているうちに「自分はなぜ問題行動を起こしたのか」という理由に子ども自身が気づいていくかもしれません。そうなれば、教師の問いかけは相手を尊重する「プラスのストローク」と言うことができます。
A(大人)の自我状態は「事実の分析」「考える」「気づく」などのアクションを起こすことができます。冷静さ・客観性にもとづいた振る舞いは、感情に振り回されずに「どうしたら良いか」と建設的に考えることへとつながります。
Aが低下するとき
Aが高い人でも、そのエネルギーが低下してしまうときもあります。それは以下のようなときです。
体調が悪いとき。疲れているとき。嫌な気分を引きずっているとき。
さびしくて不安なとき。ストレスがあるとき。
Aを維持するには
上のような状態になる時は誰にでもあり、完全に避けることはできません。Aのエネルギーが低下したときには、次のような方法で「エネルギーの充電」をしてみましょう。
(1)休む
(メリットのある「引きこもり」をする)
(2)セルフストロークをする
(自分の存在意義や自尊心、幸福感を見出す)
以下、それぞれについて説明します。
(1)「引きこもり」のメリット
エネルギー充電のための「引きこもり」をすると、次のようなメリットがあります。
〇一人きりになり、誰にも気を使わないでいる → 気持ちが楽になる。
〇一人きりになり、休んだり眠ったりする → 体力が回復する。
〇一人きりになり、好きなことをする → 感性のリフレッシュになる。
〇一人きりになり、自分に向き合う → 感情の整理整頓ができる。
(2)「セルフストローク」のための方法
「ストローク」とは「人の存在を認める言動や働きかけ」のことです。自分にも「ストローク」をすると、傷つき疲れていた心が癒され、エネルギーの回復につながります。以下は自分に向けたストロークの例です。
・自分のネガティブな感情を否定せず認める。
・自分の望んでいることを探る。
・長所を生かせるような場所に自分を置く。
・短所を素直に認める。
・時には自分に厳しく接する。
・時には自分に優しく接する。
・自分の体を大切にして、健康的に生きる。
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