心の家
人の心が家だとすると、色々な形の部屋があって、その部屋の用途も変わってくる。
多くの友達が入れたり、招くことのできる部屋
家族と過ごす部屋
学校の先生や会社の同僚と共有する部屋
親友のみ入れる部屋
私の家には、鍵のかかった部屋が一つある。
その部屋は、今のところ自分しか入ることができない。
今まで鍵を開けようとしてこなかったし、鍵のある存在さえも隠していた気がする。
それは、家族も親友も、
存在に気付いている人はいるのかもしれないが、中身まで知る人はいないのだろう。
それが当たり前で、そうすることが楽にさえおもっていた。
まだ部屋の鍵をよく無くしていた頃、家族に除かれかけた時は、行き場のない爆発的な感情に襲われた。
だから、鍵はそっと隠すことにした。
そうしていたらある時、部屋の収納に限界がきた。
もう自分だけでは整理できる状態ではなくなっていて、何を外へ出そうかもわからない。
そっと捨てていたはずの物は、ただ他の物の下敷きになっていただけであった。
とりあえず、物を全て涙にしたら、部屋には何もなくなったけど、
そうしたら電気が壊れて、灯りがつかなくなって、真っ暗になってしまったんだ。
修理なんて到底できなくて、何もない真っ暗な部屋。
だから
その部屋に誰かが一緒にいて欲しくなった。
だけど、鍵を隠した場所はとっくに忘れてしまっていて、自分だけがすり抜けて入れる部屋に変わっていることに気が付いた。
鍵を自分か誰かが見つけない限り、その部屋に誰かが入ることはなくて、
私の心の家には、その部屋がごく自然にありすぎていて、部屋の存在に誰も気が付かないかもしれない。
そして、今日も明日も私はその部屋を出たら、しっかり鍵がかかっていることを確認して出かけるのだろう。
あおむしははらぺこ より