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ライフシフトする空海

遣唐使船は4隻でしたが、途中で暴風に遭い、4隻の船団中2隻は到着出来ませんでした。到着したもう1隻(第二船)には、後に天台宗を起こす最澄が乗っていました。空海と最澄という、平安仏教の二大開祖が乗った船のみ辿り着くということに、不思議な運命を感じてしまいます。

無事到着とはいっても、空海の船は大きく南に流され、約一ヶ月間漂流後に福州赤岸鎮というところに漂着しました。
一方、最澄の船は、50日余り漂流してから、明州寧波(にんぽー)に着いています。2隻とも命からがら辿り着いたのです。

空海の乗った船は海賊の嫌疑をかけられ怪しまれて上陸できずにいましたが、遣唐大使に代わり、空海が福州の長官へ嘆願書を代筆します。理路整然とした文章と優れた筆跡により遣唐使と認められ、5ヶ月して玄奘三蔵法師が眠る長安入りを許されます。
なにごとも理想と現実は違いますが、深い縁起を感じる上陸です。

なぜなら、かって遣唐使として唐に上陸した道昭は玄奘三蔵に教えを受けた唯一の日本人で、その弟子が聖武天皇の依頼で大仏殿を創建した行基です。行基は遡ること100年前、聖武天皇の依頼で大仏殿を創建した僧でした。大学で勉学から心が離れたのも心を揺さぶる心のメンターと言うべき人物がいました。民衆の心とともにあった行基ではないでしょうか。

行基

遠く離れた唐で「因果の道理」が空海に降り注ぎます。
この地に眠る玄奘三蔵の霊魂が大安寺の勤操、戒明、行基さらには恵果を空海の阿頼耶識に集めたようです。
「因果の道理」は、善行を行えば善い結果が得られ、悪行を行えば悪い結果が必ずあらわれる「因果の法則」とも表現されます。
いま因果の法則が働いて空海のライフシフトが動き出したのです。

中国語、土木工学、書家、文才、医薬などに精通したのは勉強法の因果の法則によるものです。1000回学習するのが僧侶の常でしたが、空海は10000回学習するのを常としたようです。この在り方が因果の道理を働らかせて、いま、ここ、難局に立ち往生していた佐伯眞魚を木っ端微塵にして空海の道を開き招き入れたようです。

学習とは古い価値観に甘んじる自分を破壊することです。
古い価値観をベースにマイナーチェンジするか、フルチェンジするのか、その選択が学習の成果になります。
10000回学習するのを常とするとは、思考回路の完璧な木っ端微塵をめざすことであり、生きながらのダイナマイトです。

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